中外製薬株式会社は、F.ホフマン・ラ・ロシュ社から輸入し、製造・販売している抗インフルエンザウイルス剤「タミフルカプセル75」(一般名:オセルタミビルリン酸塩)について、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による被災者支援を目的として無償提供すると発表した。
現在20万人以上の被災者が、不自由な避難所暮らしを強いられている。まだ小雪がちらつく日があるなど、気温も例年になく寒い日が続いており、広い体育館などの施設で局所的な暖房のみの被災者の健康、なかでも子どもや高齢者の体力は、すでに限界に近づいている。その意味からも感染症対策が急務になっている。
既に避難所等においてインフルエンザ流行の兆しが見受けられており、同社は、緊急医薬品供給の観点から被災地及びその支援を行う都道府県が新型インフルエンザ対策として備蓄しているタミフルを、被災者等の感染予防および治療用として使用することについて同意した。
また、同社は新たに約6万人分の備蓄用タミフルを、被災各県を中心に無償提供するとしている。