国民生活センターは、日中家にいる高齢者宅などを訪問し、「ペースメーカーの材料に使うから」などと言葉巧みにもちかけ、家にある金やプラチナなどの貴金属を強引に買い取るという、新手の「訪問買取」の被害が複数出ていると注意を促している。
同センターに寄せられた相談は以下のとおり。
庭で草取りをしていたら、見知らぬ男性に「ペースメーカーの材料に使う金とプラチナが不足しているので、貴金属を持っていたら出してほしい」と声をかけられた。断ったのに「たんすを開けたらあるでしょう」などとしつこく言われ、ペースメーカーに使われるのなら…という思いもあり、一応探してみようと家に向かうと玄関まで一緒に入ってきた。壊れたネックレス3本と指輪を出すと、買取料として5千円を渡された。後になって「どうして渡してしまったのか」と悔やんでいる。(80歳代 女性)
このほかにも、「不意打ち的に勧誘され、わけがわからないうちに買い取られた」「強引で怖かった」など、貴金属の訪問買取の相談が多く寄せられており、なかには、「ペースメーカーの部品になるので人の命が助かる」「医療機器に再生するので社会貢献になる」など、親切心につけ込むケースが出ているという。
しかし、日本で使われている心臓ペースメーカーはすべて輸入品で、国内で作られるわけではなく、さらに、金とプラチナは主な材料ではなく、心臓ペースメーカーが不足しているという事実もない。
この突然の訪問買取は、どれも不当に安い価格で買い取られており、後日それに気付いても、「販売」ではなく「買い取り」にはクーリングオフなどの制度も有効ではないため、泣き寝入りになるという。突然の訪問で、冷静に判断する間もなく買い取られてしまうケースが多いため、買い取ってもらうつもりがなければ、勇気を出してきっぱりと断る、また、居座られたり脅されたりしたときは警察を呼ぶなどの対処が必要だと呼びかけている。
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