3月7日、第177回通常国会予算委員会の席上において、共産党の山下芳生(よしき)議員が、特別養護老人ホームの整備や高齢者の介護のあり方について、厚労大臣や菅首相に質問した。
山下議員はまず全国の特養の定員と待機者の推移を厚労大臣に問い、10年で待機者は4倍(約42万人)になったのに、特養整備は追いつかず、一方で介護のために仕事を辞める「介護離職者」について追求した。
これに対して細川大臣は、直近データを示し、介護離職者が1年で13万人であったことを明らかにし、「仕事と介護の両立はますます重要な問題だ」と述べた。
一方、菅総理は、「高齢者を社会で見るという介護保険自体はよかったが、今後高齢化が進み、高齢者の1人暮らし、家族も少なくなるなかで、さらなる努力をしなければならないと思う」と答弁した。
山下議員はさらに、愛知・岐阜両県に12カ所あるという、経管栄養の要介護者だけを集めた高齢者住宅「寝たきり専用賃貸住宅」(通称「寝た専賃」)が急増していることに触れ、実際に見学してきた様子を伝えた。
「この施設が指定された事業所から看護師がやってきて、1日3回、順番にチューブで食事させるだけで、食事時でも食事の用意も人員も不要。しかも住宅設置者と介護・看護・ケアマネジャーが同一事業者」であることを問題視した。
この「寝た専賃」の存在は、菅総理も細川大臣も「知らなかった」と延べ、総理は「経菅栄養もいろいろな議論があるが、そこのサービスがきちんとしたものであれば、一つのあり方。サービスの内容によるのではないかと思う」と語った。
これに対して山下議員は、「手間がかからず、高額の介護報酬が入ってくる、老人を食いものにしたビジネス」だと、強く糾弾。細川大臣は、「この施設が有料老人ホームに該当するかどうか、調査をしなければわからない。運営実態の把握については、都道府県に判断を任せる」とした。
その後、山下議員は、民主党のマニフェストでは現在の3倍のスピードで整備するとあったが」と、特養の整備不足について触れ、補助金の増額、国有地の活用などについても提案。最後に「誰もが安心して老後をおくれる社会にしてほしい」と結んだ。