厚生労働省は2月25日、今通常国会に提出予定の介護保険法改正案に盛り込む予定の24時間対応の定期巡回・随時対応サービスについて、「24時間地域巡回型訪問サービスのあり方検討会」の報告書を公表した。
報告書は、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が取りまとめたもので、今後、同省では、報告書の内容や予算12億円を計上しているモデル事業の実施状況、社会保障審議会介護給付費分科会の議論などを踏まえ、設基基準や介護報酬に関する省令整備の検討を進めていく予定。
報告書の概要版では、24時間地域巡回型訪問サービスの基本的な考え方として、「短時間」「随時の対応」の1日複数回の定期訪問を行う“まったく新しいサービス類型”と位置付け、対象者は要介護3以上の要介護者の在宅生活の限界点を引き上げることを本サービスの前提としつつも、要介護者全般とした。
マネジメントのあり方では、実際に訪問を行っている介護職員や看護職員によるチームが行う継続的アセスメントに基づき、1日のサービス提供のタイミングなどを決定。ケアマネジャーについては、24時間地域巡回型訪問サービス事業所と「共同マネジメント」の形で緊密に連携を図り、他のサービス提供事業者との情報共有を進めつつ、利用者のニーズに即したケアプランを作成するよう求めている。
報酬体系のあり方では、高齢者の心身の状態変化にともない必要なサービスの量やタイミングも変化することから、施設と同様、包括定額払い方式の介護報酬を基本とした。包括定額払いを導入する際、「事業者によるサービス提供控え」が生じる可能性があるが、これについては、保険者の責任において利用者の在宅生活が包括的かつ継続的に支えられているかを把握する必要があるとしている。
介護サービスと看護サービスの一体的提供のため、24時間地域巡回型訪問サービス事業所には介護職員と看護職員を配置し、看護職員は「利用者に対する定期的なモニタリング・アセスメント」「訪問看護指示書に基づくサービス提供」「体調急変時の判断や医師との連携」「介護職員に対する療養上の助言」を行う。事業所で看護職員を配置することが困難な場合、外部の事業所との緊密な連携により、こうした機能を確保することも認めている。
人員確保については、モーニングケア、食事、ナイトケアなど特定の時間帯にサービスが集中する場合、常勤職員以外に短時間勤務職員も含めたシフト対応をし、特に夜間(深夜)は24時間対応を行っている他事業所、施設との兼務も検討する。
以上の要素をもとに、報告書の概要の末尾には、24時間地域巡回型訪問サービス事業実施のシミュレーションも提示。人口約10万人の圏域に5つの事業所があると想定し、必要な職員体制を試算した。一事業所頻回利用者の平均数を45人とした場合、対する職員数は介護職員が22.8人、看護職員が1.71人、面接相談員が1.0人、オペレーターが1.0人(いずれも常勤換算)と割り出している。
なお、24時間地域巡回型訪問サービス事業試行調査に使用されたサービスマニュアルやケア記録シートなどの資料も、今後、CMO【無料書式】で随時掲載する予定。