地域での互助には行政のアクションが必要――東社協セミナーレポート2

2月23日の東京都社会福祉協議会センター部会主催のフォーラムでは、慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授の田中滋氏の講演に引き続き、田中氏がコーディネーターを務め、3名のシンポジストによるシンポジウムが行われた。

シンポジストは、八王子保険生活協同組合専務理事の大久保孝彦氏、新宿区高齢者サービス課高齢者相談係高齢者相談係長の永田義弘氏、東村山市北部地域包括支援センターセンター長の鈴木博之氏という3名。それぞれ、東京都の各地域で、地域包括ケアに向けた実践をしている人たちだ。

シンポジウムでは、まず、3人が順に登壇し、各地域での実践内容について説明を行った。

最初に講演を行った大久保氏は、「地域包括ケアは『地域づくり』と密接しており、『互助』がポイントとなる」という考えを説明した後、保険生協の組合員の元気づくり・健康づくりを支援するために実施している年間プログラムを紹介。医師による健康教室やボランティア学校、認知症サポーター養成講座、「家で亡くなるということ」をテーマにした話し合いなど、年間30回程度のプログラムを開催しており、延べ2,000名が参加しているという。

さらに今後の課題として、在宅療養支援病院(診療所)への転換を考えていること、24時間対応の訪問介護を検討していること、また、すでに実施中のボランティア活動を基本に、生活支援について検討する研究会を新設することなどを説明した。

続いて登壇した永田氏は、新宿区における地域包括ケアに向けた取り組みを紹介。
2006年度から「孤独死防止対策」として行っていた見守り活動をさらに強化し、申請した人のみを対象に行うのではなく、75歳以上の一人暮らしの人全員を対象に、情報紙「ぬくもりだより」を月2回訪問配布していることを説明した。75歳以上の一人暮らしの人は1万2,000人ほど。このうち、現在、配布の対象となっている人は約4,800人。「元気だから」、「介護サービスを受けているから」といった理由で訪問を断っている人もいる一方、明らかに必要であるにもかかわらず拒否している人もいるため、そうした人たちをいかにカバーするかが課題であると語った。

また、永田氏は、「互助のような仕組みを自然発生的につくるのは難しい。行政が何らかのアクションを起こし、支えあう仕組みを支援する必要があるだろう」と、行政が介入する必要性を話した。

東村山市で地域包括支援センターのセンター長を務める鈴木氏は、地域包括ケアの考え方、そのなかでの地域包括支援センターの役割について言及。冒頭、「大都市の高齢者の生活形態は多様。ニーズも多様化している。そうしたなかで、地域包括支援センターの役割は、個別ケアだけではなく、地域のニーズがどこにあり、どう解決できるかという方向性を打ち出すということ」と話した。さらに、そのためには、住民とのネットワーク、地域のサービス機関との連携強化が必要であることを説明した。

――――東社協セミナーリポート3へ続く

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