株式会社日本能率協会総合研究所は、全国の20代から60代の男女1,000人を対象に、がんと免疫の関係などについてアンケート調査を2010年12月に実施し、その結果をこのほど公表した。
「がんは怖い病気だと思うか」という設問に対して、60%の人が「非常にそう思う」と回答、28.4%が「ややそう思う」と回答しており、全体の9割近くの人が、がんに対して「怖い病気」という認識を持っていることがわかった。
また、将来、がんになる可能性についても、「非常にあると思う」が17.5%、「ややあると思う」が37.8%で、過半数の人が、がんになる可能性を感じていた。
残りは、「どちらともいえない」が35.4%、「あまりないと思う」が6.5%、「まったくないと思う」が1.7%、「すでにがんになったことがある」が1.1%。
がんになった場合に心配することを複数選択で選んでもらった結果は、「治療費(経済的負担)」が72.3%で、圧倒的に多かった。次いで、「死」(55.5%)、「痛み」(53.3%)、「家族」(45.9%)、「再発・転移」(43.9%)の順。
このように、多くの人が、がんに対して一定の恐怖を持っているものの、「がん予防のために心がけていること」を複数選択で尋ねたところ、「特に心がけていることはない」が4割を占め、最も多かった。ほかは、「たばこを吸わないこと」(29.4%)、「食生活の改善」(25.9%)、「ストレスを抱え込まないようにすること」(24.9%)など。
また、がんと免疫の関係において最も基本的なポイントは、「健康な人でも、体内では毎日およそ5,000個のがん細胞ができている」、その一方で、「NK(エヌケイ)細胞などの免疫系が、体内で生まれたがん細胞を成長し増殖する前に摘み取っているため、がんを発症しないですんでいる」ということ。
この2つの事実については、いずれについても約7割が「知らなかった」と回答。がんに関する情報が巷で増えている一方、多くの人は、がん細胞を抑える免疫細胞の働きについて認識していないこと、がん予防に向けた取り組みを自主的には行っていないことが浮き彫りになった。
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