東京都は、自主事業として通所介護事業所で宿泊サービスを提供している事業者を対象にアンケート調査を行い、調査結果を公表した。調査結果によると、宿泊サービスを実施している通所介護事業所は、2010年12月1日現在で都内に194あり、要介護度が高く火災の場合に自力で避難することが困難な高齢者が入所していることがわかった。
宿泊サービスを実施している通所介護事業所利用者の平均要介護度は2.8 で、1日あたりの平均利用者数(1所あたり平均) 3.44人、1人あたりの平均宿泊数(1所あたり平均)は9.42泊で、2010年11月中でみた夜間の職員体制は全事業所数の8割が「1人」と回答していた。
【消防設備の状況】
都ではこの結果を重く見て、消防設備などの確認が必要な事業所103カ所に対し、3月下旬までに立入検査を実施する。
都は現在、認知症対応型通所介護事業所の利用者の安全・安心を確保するため、スプリンクラーの設置や連泊の制限などの基準を設けた上で、早朝・夜間の延長や宿泊といったサービスを提供するモデル事業を実施している。しかし、自主事業として宿泊サービスを提供している通所介護事業は、施設基準や届出の仕組みがなく、実態把握や法令に基づく指導が困難だという。
都は調査結果の公表と同時に、厚生労働省に緊急提案を提出し、今年度に国が実施するデイサービス利用者の宿泊ニーズ等に関する調査について下記の要望を出している。
●通所介護事業所において自主事業として宿泊サービスを提供する場合に、基準等を設け、届出を義務付けること。
●上記にあわせて、自主事業として宿泊サービスを実施する事業所に対し、立入調査や改善勧告等を行うことができるよう、法的な整備を行うこと。
●通所介護事業所においては、区市町村の指定を受け、介護保険法に定めるショートステイ(基準該当サービス)を実施することが認められている。この基準該当ショートステイの設置を促進するため、医療機関等との連携が図れる場合には医師の必置を緩和するなど、小規模での運営が可能となるような基準を設定すること。
◎東京都 「宿泊サービスを提供している通所介護事業所の緊急調査結果」