株式会社タニタは、あおむけに寝た姿勢で腹部(体幹部)の脂肪率や内臓脂肪レベル、腹囲を同時に計測する腹部脂肪計「AB-140」(非医療器)を2月1日に発売した。これまで困難だった身体に障害がある人でも、負担をかけず簡単に腹部の脂肪率などの計測が行えるようになる。
タニタではこれまでに介護・福祉分野向けに、車いすに乗ったままはかれる体重計や手すりを備えた体重計を開発・販売してきた。しかし、体脂肪計が一般化してくるとともに、生活習慣病がクローズアップされてくる中で、肢体が不自由など障害のある方々からも使いたいというニーズが高まっていた。今回、発売する腹部脂肪計はこうしたニーズに対応したもの。
腹部脂肪計はアーチ型の形状をした本体と、4つの電極を内蔵し無線通信機能を備えたインピーダンス計で構成。腹囲は巻尺ではかった腹囲と腹部の横幅に強い相関があることを利用し、推定値を割り出す仕組みを取り入れている。
具体的には本体を対象者の腹部にかぶせ、頂部にあるレーザーを照射してヘソの位置に中心点を合わせる。続いて左右にある複数の距離センサーによって、非接触で腹部の横幅を測り、そのデータを独自の計算式に取り込み、腹囲を推定する。腹部の横幅は、呼吸による変動が少ないため再現性に優れ、より正確な腹囲の推定が可能であることを確かめている。
腹部の脂肪率と内臓脂肪レベルについては、インピーダンス計を直接ヘソの位置に乗せ前面の電気抵抗値を図る。ヘソの位置合わせは、本体から照射されるレーザーによって行い、計測したデータは赤外線無線通信により本体に送信。このデータと腹筋群の発達度合いから間接的に内臓脂肪レベルを、電解質の量から腹部の脂肪率をそれぞれ推定し表示する。
一連の計測にかかわる時間は約30秒ほどで、操作も男女を選択して測定ボタンを押すだけ。身長や年齢などを入力する必要はない。本体・インピーダンス計ともにバッテリー方式(本体は外部電源の利用も可)による駆動のため、コードが絡まったり断線したりするなどのトラブルもなく、総重量は3.1kgと軽量なため簡単に持ち運びができる。
これまで体組成計などBIA(生体インピーダンス)法から推定する計測機器の多くは立った姿勢ではかることを前提としており、寝たきりなどの要介護者や肢体が不自由な方には対応していなかったが、今回発売した腹部脂肪計は、こうした課題を同時に解決した最先端の計測機器であり、介護・福祉分野での健康管理が容易に行えるようになる。
価格は29万4,000円(消費税込)。介護・福祉施設や運動療法施設などをターゲットに初年度300台、 3年後に1,000台の販売を計画している。腹部の脂肪率および内臓脂肪レベルと腹囲とを同時に計測する装置の実用化は、世界初となる。
【腹部脂肪計仕様】
■型番:AB-140
■構成:本体(重量約2.6kg)
インピーダンス計(重量約0.5kg)
■体幹部脂肪率:0.1%単位(5.0〜75.0%)、対象年齢18歳以上
■体幹部脂肪率判定:少なめ〜多め 判定9段階(バー判定付き)対象年齢18歳以上
■内臓脂肪レベル:1.0〜59.0レベル(0.5レベル単位)対象年齢18歳以上
■内臓脂肪レベル判定:標準〜過剰 判定6段階(バー判定付き)対象年齢18歳以上
■推定腹囲:50〜130cm(1.0cm単位、計測範囲20〜48cm)、対象年齢18歳以上
■通信ポート:RS232C
■計測時間:約30秒
■電源:本体 ACアダプター 入力100〜240V 出力12V、2A(バッテリー ニッケル水素充電池 出力DC7.2V 1mAh)、インピーダンス計 DC6V/単4アルカリ電池×4本
■付属品:キャリングケース