老人福祉事業者倒産の8割が「若死」――帝国データバンク倒産動向調査

帝国データバンクは、2001年〜2010年における「医療機関」「老人福祉事業者」の倒産(法的整理のみを対象)動向について調査・分析し、2月1日に発表した。今回は、その報告の中から、老人福祉事業者の部分を抜粋・紹介する。

なお、ここで言う老人福祉事業者とは、養護老人ホーム特別養護老人ホーム、軽費老人ホームケアハウスを含む)、老人福祉センター、老人デイサービスセンター、老人短期入所施設の運営および、移動入浴サービス、在宅介護サービス(医療は行わず日常生活の介護)を行っている事業者を対象としている。

老人福祉事業者の倒産は、2001〜2010年の老人福祉事業者の倒産は120件、2006 年(7 件)から2009 年(32 件)の3 年間で4.6 倍に急増したが、2010年1年では老人17件と、過去最高となった2009年を大きく下回った。

2000 年4 月の介護保険法の施行が大きなきっかけとなり、訪問・通所介護サービスなどの介護関連の事業に活路を開こうと新規参入する企業が相次ぎ市場が拡大したが、徐々に同業者間の競争が激化。
さらに2006 年4 月に改正介護保険法の施行に伴う介護報酬の引き下げ、施設サービスにおける居住費用・食費が介護保険給付対象から除外されるなど、経営環境がさらに悪化したことが、2007 年以降の倒産急増の要因になったと考えられる。
2010 年は17 件と前年比大幅減少となったが、今後、政策等の変化に伴い再び増加に転じる可能性もある。

倒産態様別では「破産」が101 件(構成比84.2%)で最も多く、以下、「民事再生法」(11 件、同9.2%)、「特別清算」(6 件、同5.0%)と続いた。業歴が浅く規模の小さい介護サービス事業者が大半を占め、再建型の民事再生法を選択できる条件にかなった事業者が少ないことが分かる。

負債額は老人福祉事業者は「1 億円未満」が45 件(構成比54.9%)で最も多く、5 億円未満が67 件(同81.7%)を占めた。病院倒産の最多構成を占める負債額は10〜30億円未満、半数以上が民事再生法で復活の余地を残している現実と大きく様相を異にしているのがわかる。

業歴(設立から倒産までの期間)別では老人福祉事業者は「5〜10 年未満」(構成比40.0%)が最多となり、「10 年未満」が78.3%を占めた。2000 年の介護保険法施行に伴い、多くの新会社などがビジネスチャンスと考えて老人福祉事業に参入したものの軌道に乗らず、10 年を経ずに経営破たんする企業が多発している現状が浮かび上がってくる。

制度の維持・継続がなにより重要な社会保障に関わる事業者の撤退や倒産は、利用者である高齢者にとっては、行き場を失うことに等しい。2010年は介護職員交付金に加え、他業種の求人が激減し、業界はいわばプチバブルだったが、今年もうまくいくとは限らない。しっかりと身を引き締めていくことが求められよう。

◎帝国データバンク

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