日本在宅介護協会(在宅協)東京支部は1月19日、新春トップセミナーを開催し、株式会社やさしい手代表取締役社長の香取幹氏が「ケアマネジャーを中心とする地域包括ケア」をテーマに講演した。
24時間巡回型訪問介護サービスのあり方検討会委員である香取氏は、同委員会の動向について「サービスをした分だけ請求する出来高制か定額包括払いかをめぐる論議では定額包括払いに傾きつつある」と内情を語り、デンマークの社会福祉の特長である継続性、自己決定、残存能力の活性化を地域包括ケアの理想と関連づけながら、「国は地域包括ケアについて日常生活圏域での一社独占をすすめたがっているが、保険者が落札させる制度で利用者は自己決定ができるのか」と疑問視した。
24時間対応の在宅サービスをうたった地域包括ケアについて、香取氏は「地域包括支援センターのケアマネジャーががんばるもので一般のケアマネジャーには無関係だと思っている人もいるがそれは違う。先日、市町村受託の地域包括支援センターに訪問したら17時で閉まっていた」と会場の笑いを誘いつつ、「切れ間のない24時間対応の在宅サービスを支えるには私たち民間ケアマネジャーのがんばりと、介護保険外のサービスが不可欠」と強調した。
続いて香取氏は、同社が提案する地域包括ケア案として、24時間巡回型訪問介護を併設した高齢者専用賃貸住宅(高専賃)における「コンシェルジェサービス」のイメージを紹介。ヘルパーの24時間訪問介護サービスとケアマネジャーによるケアマネジメントとともに、介護記録を電子化した“介護電子カルテ”を活用して介護・医療機関関係者同士がリアルタイムで情報共有ができ、携帯電話を通じて利用者家族が入居者の日々の様子を簡単に閲覧したり、預かり金状況の確認ができるほか、ケアマネジャーは複数のサービス提供責任者から適時利用者報告を受けられるシステムを開発したと説明した。
香取氏は講演の結びに「今後、地域包括ケアの内容はどこまでが介護保険で対応し、どこまでが介護保険の給付対象でないサービスとなるのか、まだ検討中だが、ケアマネジャーはこれまでより複数の仕事をするようになると思う。“混合介護”の時代がやってきた」と語った。
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