東京都は、「(前に買った布団の)新しい保証書を渡します」等と告げて高齢者宅を訪問し、消費者が「要らない」「取り替える必要はない」と断っているにもかかわらず取り合わず、執拗な勧誘を行い、押入用布団乾燥剤等の契約をさせていた事業者に対し、特定商取引に関する法律(以下、「特定商取引法」)第8条に基づき業務の一部の6か月間停止命令を行ったことを発表した。
押入用布団乾燥剤などの訪問販売を行っている事業者(エイトワン、アースなどと呼称)は、主に高齢者宅を訪問し、強引な勧誘方法で押入用布団乾燥剤等の販売を行っていた。都には2008〜2010年の3年間で56件の相談が寄せられており、相談者の平均年齢は80歳、最高年齢は96歳だった。また、平均契約金額は約27万円だが、最高額は94万円を支払ったものもあった。
業務停止命令の対象となる主な不適正な取引行為は、以下のとおり。( )内は根拠となる特定商取引法の条項。
■消費者に対して、「新しい保証書を渡します」「前に買った布団のことで、書類をみせるだけ」「布団を見るだけ」等と告げ、勧誘に先立って、布団乾燥剤等の販売が目的であることを告げていなかった。(販売目的隠匿)
■消費者に渡していた契約書面について、商品の種類、製造者名等が記載されていない等、不備があった。
■消費者が1ケ月前に洗濯、乾燥したばかりであった掛け布団に手を入れて、「湿っている。乾燥剤を早く入れないと布団が駄目になる。」等と不実なことを告げていた。(不実告知)
■消費者宅の押入れに勝手に新しい乾燥剤等を入れ終わった後に、一方的に契約書を作成し、金額を告げる等、契約に先立って商品の性能・価格や数量等について告げていなかった。(重要事項不告知)
■消費者が、「要らない」「取り替える必要がない」と断わっているにもかかわらず取り合わず、消費者の了解を得ずに使用中の乾燥剤を押入れから出し、勝手に商品の袋を破いて押入れや布団の間にいれ、契約しなければ帰らないと思わせる等、迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘行為を行っていた。(迷惑勧誘)
高齢者を狙ったこのような悪質な訪問販売・勧誘は、その手口が年々巧妙化しており、孤独と不安のなかで生活している独居高齢者の話し相手になったり、高齢者には困難な大きな荷物の出し入れなどを手伝うなど、さも人助けのようなふりをして、その実、高額な商品の契約を促している例が目に付く。
今回の場合も、販売目的であることを告げずに勝手に商品を設置するなど、女性の高齢者などは強く拒否できないことを知ったうえでの強引な方法であり、高齢者は強い意思を持って、最初の段階から不要である旨を告げることが必要だ。
考えられる対処法としては、1)1人暮らしであることを悟られないようにして「家族に相談しないと」と断る、2)最寄りの消費者センター、民生委員などの電話番号を控えておき、不安があったらすぐに連絡する、などの方法がある。さらに、玄関先など、訪問者の目に付くところに、消費者センターの電話番号の入ったチラシ(オレオレ詐欺や悪徳商法防止など)を貼っておくのも効果があるだろう。
■業務に役立つ無料書式
・悪質商法被害防止リーフレット
・詐欺や悪徳商法注意を喚起するチラシ