大塚製薬株式会社は、電解質排泄の増加を伴わず水分のみを排泄する作用を有し、心不全における体液貯留改善を効能・効果とする世界で初めての治療薬、バソプレシンV2-受容体拮抗剤「サムスカ錠 15mg (一般名: トルバプタン)」を 2010年12月14日に発売した。
うっ血性心不全を抱える患者は、心臓のポンプ機能の低下により体液貯留(浮腫)が生じることがある。浮腫は、呼吸が困難になる、活動性が低下するなど、患者のQOLに大きく影響し、その治療には利尿薬が用いられるが、既存の利尿薬では効果が十分に得られない場合もあり、この時、増量や他剤の追加を繰り返すことで、血清電解質異常や腎機能の低下が起こる懸念が報告されている。
「サムスカ」は、大塚製薬が自社で創製した非ペプチド性バソプレシンV2-受容体拮抗剤で、腎臓の集合管において、バソプレシン(抗利尿ホルモン)の働きを抑制することで、尿中から血中への水の再吸収を減少させ、ナトリウムなどの電解質排泄に直接の影響を与えずに水分のみを体外へ排出するメカニズムを持つ。
「サムスカ錠」の発売にあたり、北里大学循環器内科の和泉徹教授は、「心不全による体液貯留の治療では、患者さんの呼吸困難などの症状を改善するために、長きにわたり利尿薬が用いられている。一方で、既存の利尿薬だけでは十分に改善が見られない場合もあり、その際は薬剤の増量や併用を検討するが、電解質バランスを崩してしまうなどのジレンマがあった。『サムスカ錠』は、電解質排泄を増やさず水だけを出す、水利尿剤という全く新しいアプローチで、心不全による体液貯留の新しい治療法として、大きな期待をしている」と述べている。
【製品概要】
■製品名:サムスカ錠15mg
■一般名:トルバプタン
■種類:V2-受容体拮抗剤
■効能・効果:ループ利尿薬などの他の利尿薬で効果不十分な心不全における体液貯留
■用法・用量:通常、成人にはトルバプタンとして15mgを1日1回経口投与する。
■剤形:錠剤
■薬価:2525.70円/錠