厚生労働省は12月20日、社会保障審議会介護給付費分科会 第5回調査実施委員会を開催した。今回は本年7月に実施した介護従事者処遇状況等調査結果、および同年介護事業経営概況調査結果の概要(案)が示され、さらに次年度実施予定の介護事業実態調査の調査票(案)が、サービス種別ごとに示された。
介護従事者処遇状況等調査は、昨年秋から導入された介護職員処遇改善交付金事業実施後、初の調査であり、交付金事業が実際にどの程度介護従事者の処遇改善に影響を与えたかを把握することにより、次期介護報酬改定の基礎資料となることを目的としている。
交付金の申請状況は、福祉3施設および訪問介護・通所介護・グループホームを合わせて86.7%。申請率が高かったのは介護老人福祉施設(96%)、グループホーム(94.2%)、介護老人保健施設(91.5%)で、逆に低かったのは介護療養型医療施設の51.7%という結果となった。
交付金の影響は昨年度調査の平均給与額と比較すると明らかで、介護職員が15,160円プラス、以下、生活相談員・支援相談員が12,240円、介護支援専門員が11,000円、OT・PTなどの医療系従事者が10,340円、看護職員は8,500円プラスに転じていた(平均給与額は基本給+手当て+一時金を常勤換算により算出)。
また、平均給与額別にみた介護従事者の構成割合は、20〜26万円に分布の山があった昨年度に比べ、今年度は22〜28万円に分布の山があり、また全体に金額の高いほうへ分布がずれており、交付金の影響が如実に現れる結果となった。
一方、介護事業経営概況調査の結果は、昨年度の結果と大きな乖離があるなど、調査結果にバラつきがみられ、有効回答率の低さ、はずれ値の処理など、主に調査結果のまとめ方について、委員から指摘があった。毎年行っているこの経営実態調査は、調査項目が多すぎる、煩雑すぎるなどの声が多く上がっていることから、来年度からは調査票記入者の負担軽減を図り、回収率および有効回答率の向上を目指す方針だ。
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