ヘルパーからの医行為相談に訪看も悲鳴――都福祉学会レポート2

12月17日、東京都主催の「第6回東京都福祉保健医療学会」が開催され、福祉医療関係者が取り組んだ約80事例について各分野ごと会場に分かれて口頭発表が行われた。保健衛生分野のポスターセッションでは、筋萎縮性側索硬化症ALS)療養者を支援するための在宅療養支援計画・評価事業の経過を町田保健所が報告。現在、厚生労働省で検討されているたんの吸引など、介護職への医行為解禁にも関連して医療介護の課題を検証した。

発表に立った同保健所の加藤由紀氏は、はじめに、町田市全域約42万人を管轄している同保健所で把握したALS療養者全25人中、在宅療養支援計画策定評価会議の資料をもとに調査した22人の調査結果である旨を説明した。

対象者は30代から70代(平均63.7歳)、療養期間は平均9.7年、発症から人工呼吸器装着までの期間は平均4.2年で、22人中20人が家族と同居し在宅で療養しているが、本人と主介護者との2人世帯が6割を占めており、主介護者は77%が配偶者だった。

22人中、要介護者が17人で要介護4以上が12人。うち6人が訪問看護を利用しており、人工呼吸器を装着している人が半数近くいる。

明らかになった課題を分析してみると、医療機関については管内には専門医療機関(拠点病院、協力病院)がなく、隣接する神奈川県の専門医療機関との連携が不十分であること、委託医療機関が遠かったり、本人や家族が入院中のケアに満足できないために家族の休息のための入院利用が少ないことなどがあった。

管内に15カ所ある訪問看護ステーションのうち、現在ALS療養者を担当しているのは9カ所。ALS療養者への訪問看護は吸引、胃ろうなどの医療ケアが多く、ヘルパーが吸引を行っている療養者は6人(27%)いるが、呼吸・嚥下など生命にかかわることだけにケアの質が求められる。現場からはヘルパーへの指導や相談のニーズに対応しきれない悲鳴が上がっており、職員の退職などで体制を維持できず、訪看ステーションを変更したケースも報告された。

長期療養者における現状では、高齢化による老々介護や主介護者が独自の介護スタイルを持ち、他の家族が介入できずに家族の中で孤立していく傾向が見られた。長期間、24時間という過酷な介護に疲弊して暴言や介護放棄に至るケースもあり、看護師やヘルパー自身が家族のような存在となり、やはり疲弊してしまっていた。その背景には、療養生活の長期的な展望や主介護者不在時の体制などが家族間で十分話し合われておらず、支援している介護関係者は、そのことに気付きながらも話し合う機会を設けていない事実があった。

加藤氏は、こうした結果を統括し、医療機関には専門医療機関を持たないエリアの保健所として、近隣の同機関への働きかけや協力病院の開拓を、訪看ステーションには、連絡会を通じた複数ステーションの利用拡大による疲弊防止策を今後の取り組みにあげた。

また、「医療依存度の高い療養者の長期療養を支えるため、ヘルパーによる吸引や夜間のサービス提供が地域で実施されているが、事業所が複数あり、看護師などから研修を受けたヘルパーがいても交替してしまうなどサービスの質に均一性がない。安全性を確保しつつケアが行われるために必要な支援のあり方は、今後の地域での重要な課題」と述べて、ケアマネジャーと定期的な関わりを持つなど、福祉分野との連携を図る必要性も訴えた。

■取材協力
東京都福祉保健局

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