「介護職の医行為解禁、あとあと後悔する」 検討会レポ2

厚生労働省が12月13日に開いた「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」では、中間まとめ案が大筋で了承されたものの、医行為の解釈、法制度のあり方をめぐり、一部の委員が介護職員による医療行為を恒常的に認めることに反発。医行為から外すよう求める委員と他の委員間で医行為の定義を巡る論戦が再度繰り広げられた。

大島伸一座長(独立行政法人国立長寿医療研究センター総長)は、「医療行為から外すか外さないかという、さんざん議論したことにまた舞い戻った。論理の正しさを追求するうちに現場からどんどん離れた議論になっている。介護現場における危険な状況をこれ以上放置できず“制度改革をしようという”全体のコンセンサスは得られていると私は理解している」と辟易した様子で事態の収拾に躍起だった。

検討会の冒頭で述べられた「制度の骨子案としては前回までで、議論は尽くされている」と述べた大島座長の言葉を無視するかのように、介護職員等によるたんの吸引等を“医行為から外す”という持論を展開したのは三上裕司委員(日本医師会常任理事)。会開催の前日の新聞で“医療行為を「社会福祉士及び介護福祉士法」で介護の専門職である介護福祉士の業務に位置づけ、養成カリキュラムに加える”と、まとめ案内容の一部が報道されたことから、会議の大半の時間が彼の独壇場となった。

三上委員は、爪きりなど医療行為ではなく介護職員に認められる行為が示されている医師法第17条、看護師法第31条の解釈通知を例に、「介護職ができることは医行為でなくて看護職でなければやってはいけないことは医行為だということを厚生労働省が解釈通知で出すことで現場の混乱が防げる。社会福祉士及び介護福祉士法で業務独占のように定めれば、あとあと後悔することになる」と言い放った。

内田千恵子委員(日本介護福祉士会副会長)からは、「生活の場で介護福祉士が生活支援の一環として、たんの吸引などを行うことを悪いと思っていない」という意見が出たが、三上委員 は「これ(たんの吸引等)が突破口となって、いくつでも医行為ができるようになり、あとあと後悔すると申し上げた」と返した。

また医行為実施の責任についても「実施した当事者個々に責任があるのはもちろんだが、広義では“医師法に違反するかどうか”ということ。現在は介護のできる範囲で起きた事故については、民事の損害賠償などのペナルティはあるが、医師法違反で免許取り消しなどという重たいペナルティはない」と述べ、介護職によるたん吸引などを医行為とした場合、リスクを負うことを強調した。

中間まとめ案では、利用者の状況や環境により、介護職員がたん吸引など医行為を実施することが適切でない場合が生じた際、実施可能かどうかの判断を 医師があらかじめ判断し、看護師と連携して行うと記載されたが、
因利恵委員(日本ホームヘルパー協会会長)が「事故が起きたとき誰が責任を取るのか。責任がゼロでなければ引き受けないという事業所もある」と訴えた。

これに対し平林勝政委員(國學院大學法科大学院長)は、「一定の基準に基づいた医行為が求められる以上、過失があれば当事者とそれを管理する事業所が責任を負わなければならないのは当然のこと。それが嫌なら医行為を引き受けなければいい」と述べた。

事務方の資料読み以外に、責任論、法規制・法解釈をめぐって1時間以上も紛糾した会議を振り返り大島座長は「医療行為から外すか外さないかという、さんざん議論したことにまた舞い戻った。論理の正しさを追求するうちに現場からどんどん離れた議論になっている」と苦言を呈した。

そのうえで「介護現場における危険な状況をこれ以上放置できず“制度改革をしようという”全体のコンセンサスは得られていると私は理解している」と述べて「医療行為は日々進歩し、医療職の業務範囲は拡大し続ける。これまでどういった対応をしてきたかというと“専門資格を作る”“業務を拡大する”“医行為から外す”の3つだ。三上委員がずっと主張してきた“医行為から外すべき”かどうかということについては、相当慎重な議論と医学的な判断が必要で、今回は医行為から外すよう求める意見を付記事項とする」と述べて閉会した。

難題と慎重論が交錯するうえに狭義で論じた後戻りが多い同検討会。“中間まとめ”と名がつくも、介護職員への医行為の拡大という“改革”への道のりは遠いようだ。

■関連記事
厚労省、介護職の医行為「中間まとめ案」公表――検討会レポ1

介護食の基礎知識

介護のキホン

介護シーン別に基礎を知る

みんなが注目する基礎知識

要介護度とは?

要介護度とは?

介護度は7段階に分かれていて、要支援1・2、要介...

介護度別ケアプラン事例

介護度別ケアプラン事例

<要支援1>支給限度額49,700円、自己負担額...

デイサービス(通所介護)の選び方

デイサービス(通所介護)の選び方

デイサービスは曜日によって利用者が異なり、雰囲気...

家族で話し合おう

家族で話し合おう

家族で話し合おう...

介護相談員ブログ

介護相談員ブログ

わかるかいごの相談員が定期的にブログを配信中!

介護用語を調べる

頭文字から探す

 
 
     
 
         
A B C D E F G H I J K
L M N O P Q R S T U V
W X Y Z              

キーワードから探す

このページのトップへ