民医連、介護保険見直しに関する見解示す

全日本民主医療機関連合会は、厚生労働省が発表した介護保険法改定に向けた社会保障審議会介護保険部会の最終報告(以下「意見」)には多数の大きな問題があるとして、12月3日に見解を発表した。主なものは以下のとおり。

【今回提示された「意見」の特徴について】
新たな財源確保ができないのを前提に、地域包括ケアの実現や介護保険料の抑制などの新たな施策を講じることと引替えに、一連の「給付抑制・負担増」を提言。提案された「給付抑制・負担増」を実施すれば、月4,800円前後の介護保険料を抑えられると説明しており、国が国民に、「介護保険料の値上げか、給付の抑制か」の二者択一を露骨に迫っている。
その背後には、「これ以上のサービスの削減や負担増を避けるために消費税の導入を」という世論をつくろうとする国のねらいが透けて見える。

【予想される課題について】
利用者負担の引き上げは、サービスを必要としている低所得者層の利用を一層困難にする。とりわけ、ケアプランの有料化は制度の入口で排除される高齢者を大量に生み出すことになる。補足給付や多床室の費用負担の見直しは、低所得者に対処を迫り、「待機者にすらなれない」事態を一層広げるものである。

また、軽度判定により、状態の悪化や閉じこもり、家族の介護負担の図を招いている深刻な事例もある。「意見」が示した見直しの方向では、そうした困難な現状を打開することはできないだけでなく、介護給付費の増大や、事業の存続にも影響をもたらす。現行の処遇改善交付金を廃止して、介護報酬に組み込むというが、わずか「2%の引き上げ」では、抜本的な打開にはならない。

【国民の願い実現について】
「社会で支える介護」にするためには、公費を大幅に投入することが必要で、それによってこそ、2025年に向けて新たに提案されている地域包括ケアも、真に高齢者・国民の願いに適うものとして実現されるだろう。
 
【「ペイ・アズ・ユーゴー原則」について】
今回の見直しの前提である、この原則は、小泉構造改革時代の焼き直しであり、社会保障に適用すべきものではない。財政事情の一点のみで一方的に給付を切り捨て、国民に負担を転換する考え方は即刻取り下げるべき。

【強く要請すること】
1)「ペイ・アズ・ユーゴー原則」を撤回し、財政制約の枠組みを撤廃する。
2)「意見」で提案されている利用者負担を実施しない。生活援助を拡充する。「給付は必要に応じて」「負担は支払い能力に応じて」の原則で、制度の再設計を大胆に行う。
3)介護従事者の抜本的な介護処遇改善策を講じる。
4)以上の実現のため、国庫負担の割合を大幅に増やす。財源は、消費税の増税ではなく、コストの見直しや財政のあり方を根本的に見直して確保する。

◎全日本民主医療機関連合会

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