要介護者らの心身は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛で、いつもの3倍ほどの速さで衰えてしまう―。ケアマネジャーの多くが、そんな危機意識を持ち始めていることが、ケアマネジメント・オンラインの調査で分かった。
ケアマネジメント・オンラインでは7月3日から7日かけて、会員にアンケート調査を実施。759人から回答を得た。
「新型コロナウイルスの流行による外出自粛ムードが1年続くとすると、そうでなかった場合と比べて要介護度が上がるスピードは何倍速くなるか」の質問への回答を集計したところ、「1倍以下」との答えは12.0%にとどまった一方、「3倍以上」との答えは28.9%に。平均値は2.51倍となった。ケアマネが、外出自粛が要介護者の心身にもたらす影響を深刻に受け止めていることが浮き彫りとなった。
■9割近いケアマネ、服薬中断を防ぐための働き掛けを実施
この調査では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、服薬を中断してしまう要介護者らが出始めていることや、感染拡大が深刻な地域ほど、そうした要介護者らが多いことも示された。
こうした状況を受け、ケアマネも要介護者らへの働き掛けを強めている。「(要介護者らの)手持ちの薬が切れるのを防ぐために、働き掛けたことがあるか」の問いに対しては87.4%が「ある」と回答した。
具体的な働き掛けの内容について複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは「家族への声掛け」(63.6%)で、以下は「本人への声掛け」(62.1%)、「かかりつけ医への情報提供」(29.6%)、「介護スタッフへの声掛け依頼」(26.9%)、「看護師への声掛け依頼」(17.9%)、「薬剤師への声掛け依頼」(15.5%)などの順となった。
回答結果を地域別で分析し直すと、特に感染者が多い東京では、医療スタッフとの連携を強化しようとする傾向が強いことが示された。東京と早い段階で緊急事態宣言が出なかった地域(※)とを比べると、「看護師への声掛け依頼」をしている割合は3.3倍に達した。同様に「薬剤師への声掛け依頼」は2.5倍、「かかりつけ医への情報提供」は1.7倍となった。=グラフ=
※4月7日に緊急事態宣言が発令された7都府県(東京、千葉、神奈川、埼玉、大阪、兵庫、福岡)以外の地域