2021年度から要介護認定を受けた高齢者でも市区町村が実施する総合事業のサービスを利用できるようになる。この制度改正に伴い、総合事業も利用する人を担当したケアマネジャーは、介護給付分だけでなく、総合事業分まで含めてサービスを組み合わせ、管理しなければならない―。21日、厚生労働省が社会保障審議会介護保険部会に示した第8期(2021―23年度)の基本指針(※)の見直し案には、そんな内容が盛り込まれた。
第8期から、市区町村が推進している総合事業の運用が見直される。具体的には、現在は要支援の高齢者に限定している対象者の範囲を弾力化し、本人が希望すれば要介護の認定を受けた高齢者も利用できるようになる。
この制度改正を踏まえ厚労省は21日、要介護認定を受けた高齢者が総合事業のサービスを使う場合について、「給付と事業を組み合わせた適切なケアマネジメントが重要」とする対応方針を示した。この対応方針について同省では「ケアマネが、要介護者向けのサービスだけでなく、総合事業のサービスも含めてマネジメントするということ」(振興課)としている。ただし、総合事業のケアプランへの記載を義務とするかどうかは「未定」(同)という。
(社会保障審議会介護保険部会)
■「2040年の人口を推計し、整備計画の策定を」
基本指針の見直し案では、市区町村や都道府県に対し、40年までの推計人口を算出した上で、サービス基盤整備や人材確保の計画策定を進めよう求めている。40年ごろに国内の高齢者人口がピークを迎えることを踏まえた内容だ。さらに、市区町村や都道府県がサービス基盤の整備計画を策定する場合は、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の設置状況も勘案することを求めた。
21日の介護保険部会の議論では、複数の委員が現場における介護人材不足の深刻さを改めて指摘。新たに施設などを整備しても、働く人材を確保できず、予定通りのサービスを提供できなくなる可能性もあるとする意見が相次いだ。桝田和平委員(全国老人福祉施設協議会介護保険事業等経営委員会委員長)は、介護の需要予測に基づきサービス基盤の整備を計画する従来の方式を改め、確保が見込まれる介護人材にあわせて、サービス基盤の整備計画を考えるべきと提言した。