外出が困難になり、買い物ができなくなった際、在宅の高齢者は別居の家族を最も頼りにしている―。こうした実態が、福岡県の田川市地域包括支援センターが行ったアンケート調査でわかった。
田川市は、県の北東部に位置し、福岡市と北九州市のほぼ中間地点に当たる。今年11月末現在、人口は4万7566人、65歳以上の高齢化率は33.5%で、同4月時点の高齢化率は、県内の全60市町村中で25番目に高かった(県平均は27.1%)。市内には、居宅介護支援事業所が35カ所あり、約70人のケアマネジャーが、地域の高齢者らのケアマネジメント業務を行っている。
今回の調査は、市内に33人いる主任ケアマネの集まりで、「高齢者の外出手段の確保が難しくて困っている」との声が上がったことがきっかけだった。
同センターでは昨年12月からの3カ月間、市内の居宅介護支援事業所のケアマネが担当する利用者世帯のうち、市内に住む高齢者のみの410世帯(居宅系の施設入居者135世帯を含む)を対象に聞き取り調査を行い、外出の実態を調べた。
■買い物の移動、「1~2キロ未満」が最多
調査結果を見た同センターが注目したのが、在宅の利用者(対象は275世帯)だった。対象者のうち、一人暮らしは全体の47%を占め、次いで夫婦のみの世帯が40%で続いた。
日頃、最もよく買い物をする場所のトップは「スーパー」(77%)で、店までの距離は「1キロメートル~2キロメートル未満」(33%)が最も多かった。店までの移動手段を複数回答で尋ねたところ、「家族による協力」が半数を占め、以下は「ヘルパーによる補助や代行」(22.5%)、「自ら徒歩(自転車・電動カーを含む)」(10%)などの順=グラフ=。
買い物に不便を感じている世帯は全体の54%に達し、その理由のトップは「身体的にきつい」(25%)で、「家族等の協力がなければ買い物に行けない」も24%で拮抗した。状況を改善するための方法では、「家族の協力」と「お店への送迎サービス」が共に23%で最も多かった(いずれも複数回答)。