「経営の神様」の精神を介護業界にも――シルバーサービス振興会月例会レポ

シルバーサービス振興会は、11月16日、第226回月例研究会を都内で開催した。今回は「経営の神様」といわれる松下幸之助の精神を受け継ぐパナソニック株式会社の桂 靖雄代表取締役副社長が登壇し、「パナソニックの経営哲学」について講演した。

同社は2008年、松下電器産業株式会社からパナソニック株式会社へと社名を変更し、松下電工株式会社、三洋電機株式会社などを子会社化することで、売上高7兆180億円(2009年度実績)、従業員数38万余名の巨大企業となり、その規模はゼネラル・エレクトロニック社(GE)に次いで世界第2位を誇っている。今回は、あらゆる業種・業態に応用可能な「松下幸之助の経営哲学」を学ぼうと、開場は満席となった。

松下幸之助(1894-1989)はわずか9歳で丁稚奉公に出て働き始め、1918年に会社を興して以来、一代で世界にその名をとどろかせる巨大企業を作り上げた立志伝中の人。その人となりを慕う人は多く、幸之助の精神を学ぶ松下政経塾からは、政財界へ多くの逸材を輩出している。

パナソニック株式会社においても幸之助の経営哲学は脈々として受け継がれており、現在、同社の経営理念は「会社は何のために存在するのか」を常に考えるところから始まっていると桂氏は語る。

経営理念としては、「社会の公器」「お客様第一」「日に新た」の3点が紹介された。
「社会の公器」とは、企業とは本来の事業を通して社会生活の向上、人々の幸せに貢献し、その事業活動から適正な利益を生み出し、それをいろいろな形で社会に還元していく。そしてそうした活動の過程が、社会と調和したものであることを目指したもの。今でこそCSR活動などといわれ、企業の社会貢献が注目されているが、同社は創業者の精神がすでにCSRを意識していたといえる。
具体的な一例として、桂氏は「パナソニックスカラシップ制度」を紹介。これはアジア諸国から日本への留学支援を行うもので、奨学金を受けて卒業しても、同社への就職義務などは一切なく、純粋に若い才能の育成する目的から1998年にスタート。現在までに301人が日本の理工系大学の修士課程を修了している。

「お客様第一」は、松下幸之助といえば、多くの人がこの言葉を思い起こすほどで、常にお客様の立場でモノづくりを行うことを意味する。また、「日に新た」とは、時代と共に変化するイノベーションを意味する言葉で、「企業の方針・方策は、その時々にふさわしい日に新たなものでなくてはならない」としている。

同社は今後、「環境」を事業の基軸に据え、エナジーシステム事業(創エネ、蓄エネ)、CO2ゼロの暮らし、創業100年に向けた「グリーンプラン2018」など、多くの目標を設定している。そうしたなかで、「健やかなくらし」を届けるためのヘルスケア事業も成長部門の一つであり、この分野では今後、「在宅ヘルスケア」、「院内業務支援」、「早期診断・治療」事業に注力するほか、パナソニックグループとして展開している介護有料老人ホーム、在宅・通所介護サービス、介護用品の製造販売、介護フランチャイズチェーン(福祉リフォーム、機器レンタル)も、同社にとって外せない社会貢献分野として継続していくと語った。

同社の3つの経営理念は、まさに介護業界にもそのまま当てはまるが、唯一不足しているものがあるとしたら、「日に新た」=「イノベーション」であろう。それでも介護保険という制度の縛りのなかで、短時間デイサービスなど次々と新たなサービスは誕生しており、今後は介護業界においてもよりイノベーションを意識するものが、成功を手中にするのではないだろうか。

◎シルバーサービス振興会

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