ケアマネ560名参加!お題は地域力、研修会レポ1

東京都は、11月15日、「地域の力を活かす介護支援専門員とは」をテーマに研修会を開催した。東京都介護支援専門員活動支援事業の一環として開かれた本研修は、午前が講義、午後は実践報告とシンポジウムと終日行われたが、多忙な業務の合い間を縫って駆けつけたケアマネジャーら約560名が参加し、会場は満席となった。

開会早々、日本社会事業大学社会福祉学部助教授の菱沼幹男氏が登壇し、同氏が全国500の自治体に行った地域での生活支援調査から導き出した地域支援の在り方や、地域福祉を進めるうえで専門職としての介入の留意点などを講義した。

菱沼氏は、地域福祉の時代と言われ、国もしきりと地域福祉の活性化を呼びかけている現状について、「他人からの過干渉を嫌ったり、在宅生活が困難になったら施設に入所すればよいという人に、なぜ住み慣れた地域で暮らすことが大切か、住民の助け合いが大事なのか説明する必要がある」と述べた。

「あなたが幸せに暮らすためにはお金と家以外に何が必要か」と問いかけ、来場したケアマネ自身に書き出すよう指示した菱沼氏は、教鞭をとる大学の学生の回答と照らし合わせて“家族・友人・健康”などを挙げつつ、「人の幸福感に大きな影響を与えるのは人間関係であり、家事・育児・介護といった手段的サポートだけでなく情緒的サポートが重要である」と訴えた。

そして、引きこもりの高齢者への対応を例に、一般的にはデイサービスの導入を思いついたりしがちだが、利用者にとって新たなサービスを“開発”するだけでなく、それまでその人が育んできた家族や友人関係などを確認し、その関係を“維持・回復”させるよう努めることで引きこもり対策を多角的に検討する視点を掲げた。

また、人間関係に目を向けるときは良好ではない、ぎくしゃくしている関係も把握するなど丁寧なアセスメントを心がけるよう求めた。その他の留意点では、近所の人がたまった新聞や閉めきった雨戸から行政に通報し鍵を壊したら、本人は入院しており、ドアの弁償などのトラブルに発展したことを例に、昨今の見守りネットワークも“合意なき見守りは善意の監視ともとれる”として、本人の合意を得ることの必要性を説いた。

菱沼氏が全国500の自治体の地域包括支援センターを中心に行った地域生活支援スキルに関する調査では、「地域住民との連携」や「個別のアセスメント」は実践できているという結果が得られ、圏域を区切った地域担当制が地域支援を促進するうえで有効とされた。

専門職が担当する地域は、人口2万人未満で緊急時に対応できるよう30分以内で訪問できる範囲などが望ましいとされたが、菱沼氏は高齢者が買い物に行くスーパーや通院する病院は必ずしも専門職が考える圏域とは同一でない場合があり、担当制では目が行き届くものの担当する職員の力量差が生じたり、担当外の地域の状況が見えなくなると注意を促した。

また、菱沼氏は「“言ってもムダ”“うまく説明できない”“この人には言いたくない”など、声にならない利用者の生活課題の解決は、地域に相談窓口を増設するだけではダメ」と述べ、埋もれた生活課題を見出すためにケアマネジャーが自ら動くアウトリーチの必要性を訴えた。

ただしケアマネジャーだけがやみくもに動くのではなく、利用者の友人や近隣住民による声かけからの気づきを集約したうえで家庭訪問をしたり、家族と同居しているが全く介護サービスを受けていない家庭はどこか絞り込んで問題がないか調べるなど既存サポートを活用するようアドバイスされた。

菱沼氏は、こうして気づいた地域ニーズは、住民座談会や講演会・シンポジウムでの学習などで共有し、「私の問題」が「私たちへの問題」になるよう組織化すること重要と訴えながら、「あなたの働いている組織(地域)にはニーズへの対応を話し合う機会があるか、今一度考えてほしい」と投げかけた。

ケアマネ研修会レポート2へ続く

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