要介護認定を受けた高齢者らの情報を医療機関がいつでも確認できるよう、ネットワーク上で共有するモデル事業が、この秋から北九州市でスタートする。緊急搬送時の適切な治療や、スムーズな退院調整の実現などを目的とした取り組み。同市によると、全国的にも珍しい取り組みという。
モデル事業で活用されるのは、医師が入力した患者情報を医療機関で共有する「とびうめネット」。福岡県医師会が運用するシステムで700カ所余りの病院や診療所が参加している。
事業では、要介護認定を申請した高齢者らのうち、同意を得た人の情報を「とびうめネット」上に登録する。登録される情報は「氏名」「住所」「生年月日」「性別」に加え、「要介護度」や「認定期間」「利用している居宅介護支援事業所やサービス事業者、医療機関」「傷病名」「投薬名」など。北九州市の中でも八幡東区や八幡西区に住む人が対象だが、来年度には全市内が対象となる見通しだ。
北九州市では、高齢者がどんな状態であっても、その情報も迅速に確認できるため、緊急搬送時などの治療がより適切に行えるとしている。さらに退院の際の居宅介護支援事業所との連携もよりスムーズになることも期待されるという。
■「ケアマネの負担軽減も期待」‐北九州市
同市地域医療課では「ケアマネジャーの負担軽減や、病院とケアマネの連携促進も期待できる事業。登録には利用者の同意が必要なため、ケアマネは積極的に事業に参加するよう促してほしい」としている。