認知症の人を支援する4団体が組織する「認知症関係当事者・支援者連絡会議」は共同提言を取りまとめ、公表した。介護保険のさらなる充実・改善や、認知症への誤解や偏見をなくすための施策の実現などを求めている。
「認知症関係当事者・支援者連絡会議」の共同宣言では、現在、与党内で「認知症基本法」の制定に向けた具体的な検討が続いていることなどを踏まえ、主に次の点の実現を要望している。
・誤解や偏見をなくし、認知症のことを正しく知り対応するための施策
・診断前から最期まで、認知症の人の尊厳を守り、切れ目のない、幅広い支援を実現する
・認知症の人の家族に対する施策の充実
・専門的なサービスや社会保障のさらなる充実
・さまざまな支援の輪を社会全体でつくることを推進
・診断や治療などの技術革新や、社会環境整備を促進するための実効性のある政策
■すべてのケアマネに認知症に関する研修の義務化を
このうち「専門的なサービスや社会保障のさらなる充実」の項目では、すべてのケアマネジャーに「認知症介護基礎研修相当かつ職務特性に沿った研修受講を義務付ける」ことを提言した。
また、介護従事者の尊厳を高めるため、その報酬を医療従事者などの専門職と同じレベルに引き上げる必要性も指摘している。
■主治医意見書のチェック項目など「アルツハイマーに偏重」
要介護認定については、「認知症の症状や困難度を加味する項目が少なすぎるので、適正に評価するために指標を追加する」ことが必要とした。特にスクリーニング項目や主治医意見書のチェック項目については「アルツハイマー型認知症に偏重しており、レビー小体型認知症や前頭側頭型認知症などの症状を拾い上げる項目がない」と課題を指摘。早急な改善を求めている。
そのほか、▽家族の負担軽減やリフレッシュに使えるよう、介護サービス利用の範囲を拡充▽夜間・休日など緊急時に対応できる窓口や施設の整備▽認知症をオープンに語る仕組みを作るため、認知症カフェは、わかりやすい目印や共通の名称を掲げる―などの提言も示された。