国民生活センターは、毎年、9月に開設されている「高齢者被害特別相談(高齢者110番)」の実施結果を発表した。
相談は、9都県市・3団体共同で実施され、全体で453件、国民生活センターには89件の相談が寄せられた。
国民生活センターへの相談を分析したところ、今年の相談は、昨年同様、社債や未公開株、ファンド型投資に関する相談が多く、その大半がすでに代金を支払ってしまい、業者との連絡も取れないケースになっていた。平均契約購入金額は約643万円と、昨年の173万円の4倍近くに跳ね上がっており、最高金額は5,050万円に上った。
販売手口は巧妙で、業者からの勧誘前後に、別の業者が「○○社の社債(未公開株)を購入すれば、それを数倍の高値で買い取る」と消費者をあおって契約させる「劇場型」、過去に未公開株の被害にあった消費者に対して「過去の未公開株を買い取るが、代わりに別の社債(未公開株)を買う必要がある」とうたって契約させる「二次被害型」など、最近の未公開株や社債トラブルと同様のケースが見られた。
金融商品以外では、全く当たらない競馬情報サービスを次々に買わされたり、しつこい電話勧誘、土地の売買、健康器具のSF商法に関する相談も見られた。
同センターでは、こうした被害に遭わないために、以下のようなことを心がけるようにアドバイスしている。
1)一度支払ってしまった代金を取り戻すのは困難で、最悪の場合、業者と全く連絡が取れなくなってしまう。また、別業者から社債や未公開株を次々と買わされる二次被害の危険性もあると心得ておく。
2)「将来高額の配当があるから元を取り戻せる」「お金はこちらが借りるだけで、あなたのお金は減らない」などの巧みなセールストークにのらず、タイミングよく買い手が現れることはないこと、業者がうまい話を見ず知らずの消費者に教えることはないことを念頭に入れ、必要のない勧誘はきっぱり断るようにする。
3)販売員の説明を聞いて、すぐにお金を払ったり、契約書にサインしたりしない。実際に契約する前にもう一度、検討したり、家族・友人等に相談する。
4)高齢者となるべく連絡を取るようにして、少しでも疑問を持った場合、家族等が最寄りの消費生活センターに相談する。
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