厚生労働省と国土交通省は、大規模な水害に備えるための公的な協議会とケアマネジャーとの連携を呼び掛ける事務連絡を出した。近年、水害や土砂災害が激しさを増していることを踏まえ、高齢者の防災意識を高めてもらうことが狙い。
「平成30年7月豪雨」(西日本豪雨)に伴う水害は、死者数が230人を超えるなど、平成で最大級の人的被害が出た水害となった。この水害を受け、国の中央防災会議は新たな避難の在り方を盛り込んだ報告書を昨年末に取りまとめた。
報告書では、住民が自らの命は自らが守るという意識を持ち、自らの判断で避難行動をとり、行政はそれを全力で支援するという方針を改めて示した。その上で、住民主体の取り組みを強化するための対策の実施も提言した。
今回の事務連絡は、その対策の一環として発出された。事務連絡では、すべての大規模氾濫減災協議会(※)は、高齢者に水害からの避難に関する理解を深めてもらうため、地域包括支援センターやケアマネと連携する必要があると指摘。
具体的な取り組み例として、▽大規模氾濫減災協議会が、地域包括支援センターやケアマネが日常的に実施している防災に関する取り組みを把握する▽大規模氾濫減災協議会が、職能団体の災害対応研修の場などを通じ、ケアマネにハザードマップなどについて説明する―などを挙げている。
※洪水が発生した場合、大きな被害が出ると予測される河川流域の自治体や気象台の関係者などが集まって組織する。