市販薬、名前は似ていても中身が違う!お薬講座レポート(1)

東京都は10月19日、「都民のためのお薬講座」を開催した。医薬品の適正使用の普及啓発を目的に薬と健康の集いの一環として開催されたもので、都民の保健衛生の向上に貢献した薬事関係功労者などの表彰に続き、第2部の都民向け講座「知って得する市販薬の使い方」が開かれた。

持病があったり日常的に服薬している人も多い高齢者にとって、より身近な「市販薬」というテーマだけに、会場ではお年寄りの姿も数多く見られ、市販薬の選び方や服薬のポイントなど充実した講義内容に忙しくメモを取っていた。

講師を務めたのは、NHK「きょうの健康」にも出演する慶応義塾大学薬学部教授の望月眞弓氏。市販薬の服用について正しい理解を深めてもらおうと、約200名の参加者らにわかりやすい口調で講義した。

望月氏は冒頭で「薬の情報は外箱や添付された紙に書いてある」と、まずはよく読むように呼びかけ、何が書いてあるのか個別に解説を始めた。
「薬を使う前に知っておきたいこと」では、「正しい名称」「効能効果」、使ってはいけないこと=「禁忌(きんき)」、副作用や飲食物との飲み合わせなど「相互作用」をあげた。

薬の名称を正しく覚えることの重要性では、「ベンザエースA」と「ベンザブロックIP」のように名称の一部が同じでも効能効果や含まれる成分に違いがあることについて説明した。同じかぜ薬でも、解熱作用ではアセトアミノフェンとイブプロフェン、せき止めには臭化水素酸デキストロメトルファンとリン酸ジヒドロコデインと違う成分が含まれており、それぞれの作用の強弱によって“かぜのひき始めに”といったキャッチフレーズがついたり、“のどの痛みに効く”と具体的な効用がうたわれたりすることがわかると、大半の参加者は納得の表情を浮かべていた。

使用上の注意について、望月氏は、禁忌として副作用が出やすい持病のある高齢者や妊婦などが「使ってはいけない人」として記載されていると告げた。そのうえで腎臓や肝臓を患っている人でも、その薬を服用してよいかどうかの重篤さを自己判断することは難しいので、まずは薬局の薬剤師などに相談するようすすめ、「相談すること」にも記載されていると述べた。

「用法用量」を守る話では、まず、用途に合わせて散剤、顆粒剤、錠剤カプセル剤、軟膏、吸入剤、貼付薬などさまざまな形があることがイラストで示された。経口薬よりも早く効き、薬を口から飲むことが困難な小児や高齢者に適した坐薬も紹介された。

望月氏は、最近は筋肉痛をとる湿布以外にも心臓病や更年期の薬として貼り薬が普及していると紹介したが、「血管を拡張する心臓の貼り薬を使用した人が、薬効で肩こりが軽減したので肩こりに悩む知人に与えたところ、もらった人は必要以上に血圧が下がりすぎて倒れてしまった。使いやすいイメージの貼り薬だが薬である以上、注意が必要」とトラブル例をあげて安易な薬の譲渡をいさめた。

服薬量と時間について「決まった量を飲むことがとても大事」と述べた望月氏は、薬には“有効域”というものがあり、適切な用法用量で飲めば血中濃度が有効域にぴったり当てはまるように薬は設計されている。早く効かせたいからと倍量を飲めば中毒域に、副作用などを恐れて半分飲んでも効果がない“無効域”に入ってしまうとグラフを示して解説した。

薬を飲み忘れたときについては、「大抵の場合は次の服薬時間まで待って決まった用量を飲むのが一般的で、飲み忘れたからといってまとめて2回分を飲むのはダメ。仕事などで昼間の飲み忘れが多い場合は朝夕2回や朝だけなど、生活スタイルに合わせた服薬を相談してみて」とアドバイスした。また、高齢者にも多い、食後の飲み忘れを防ぐ工夫として、食事前に卓上にコップ1杯の水を用意しておくことを提案。食後に水が残っていれば飲んでいない証拠となってわかりやすいと話した。

市販薬の外箱を見て、わかること!お薬講座レポート(2)へ続く

■関連記事
8割以上の家庭が余った処方薬を保存――処方薬実態調査

介護食の基礎知識

介護のキホン

介護シーン別に基礎を知る

みんなが注目する基礎知識

要介護度とは?

要介護度とは?

介護度は7段階に分かれていて、要支援1・2、要介...

介護度別ケアプラン事例

介護度別ケアプラン事例

<要支援1>支給限度額49,700円、自己負担額...

デイサービス(通所介護)の選び方

デイサービス(通所介護)の選び方

デイサービスは曜日によって利用者が異なり、雰囲気...

家族で話し合おう

家族で話し合おう

家族で話し合おう...

介護用語を調べる

頭文字から探す

 
 
     
 
         
A B C D E F G H I J K
L M N O P Q R S T U V
W X Y Z              

キーワードから探す

このページのトップへ