お泊りデイは介護給付外に!――厚労省へ要望書

福岡、東京、名古屋など全国で地域密着型の小規模デイサービスを運営する事業者で構成された、「お泊りデイの制度化を心配する介護現場の会」は、10月18日、厚生労働省を訪問し、「宿泊付きデイサービス制度化についての要望書」を担当者に手渡した。

要望書では、デイサービスという“通いの場”で宿泊できるよう検討され始めたことについて、「制度化そのものには賛成」とした上で、当事者のためのお泊りではなく、レスパイトケア(家族介護支援)として検討されている点を問題視し、「制度化のあり方については反対」として改善案を掲げた。

8月23日の社会保障審議会介護保険部会で、厚生労働省は、デイサービスでの宿泊サービスを制度化することを、「お泊りデイサービスの創設」として提案。同月30日付けの2011年度の概算要求でも「家族介護者支援(レスパイトケア)の推進」として100億円が盛り込まれた。

これに対して、「お泊りデイの制度化を心配する介護現場の会」は、介護保険給付対象外の自主事業として、あくまでも認知症高齢者が住みなれた自宅で住み続け、介護家族が孤立することなく介護を継続できるよう、「いつでも困ったときに泊まることができる、相談することができる」、デイサービスでの“泊り”の支援を行ってきた。

よって、要望書では、「通いの場でのお泊りの利用主体は、あくまで介護を必要とする高齢者」であるべきなのに、「プラン化原則の介護保険の仕組みでは、予約で空きはなく、利用者の不測の事態に対応できません」と、問題点を指摘している。

このほか、要望書では、次のように「危惧する点」と「提案」をまとめている。

危惧する点(一部、要約)
1.運営費の問題
→人件費を確保するためには数名の常態化した宿泊者を必要とするが、これまでの実践理念を捻じ曲げ、現場に自己矛盾が生じる
2.マネージメントの問題
→「デイサービスでの宿泊」の制度化により、空きベッドの稼働率を上げるため事業者間の競争が予測され、稼働率上限のプラン作成を行うことが十分に予見される。
3.給付上限の問題
介護保険のサービスとして宿泊の単価が点数化された場合、多くの利用者は保険の限度額を超えてしまうのではないか。万が一、通所介護の単価を引き下げられれば、小規模通所事業所の運営の死活問題になる。
4.制度化によって自主事業が制限されないか?
→民間による良質な自主的福祉活動と、悪質な闇産業の見分けを質的に行えないまま、法令順守を現場に押し付け、規制強化をすることで、自主事業の「泊り」ができなくなるのではないか。

提案(一部、要約)
1.まず、国のモデル事業を認知症通所介護事業所において実施してください。財源は、一般福祉財源で行い、事業所への人件費の運営費の補助を実施してください。
2.不測の事態に対応する宿泊は、当事者と介護家族の状況に合わせて利用の必要を判断することが大切。その決定とマネージメントはサービスの提供主体であるデイサービス事業所に委ねてください。
3. 施設のショートステイは入所の「待機場所」として機能しているのが実状。不測の事態に対応し、本当にお年寄りの在宅生活を継続することを支援するショートステイにするために、ショートステイのあり方を抜本的に検討してください。
4.もし、「宿泊付きデイサービス」が制度化されても、これまでの「泊り」の自主事業を制限しないでください。

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