加齢などに伴う身体機能や認知機能の低下を抑え、健康寿命を延ばすため、国は生活習慣病予防などの保健事業と介護予防事業の一体提供に乗り出す。その具体的な仕組みを模索するため、4月に新たな検討会が立ち上がることが決まった。25日の社会保障審議会介護保険部会に厚生労働省が提案し、了承された。検討会では一体提供に向け、介護予防の「通いの場」の活用などが検討される見通しだ。
現行の制度では、生活習慣病対策などの健康づくりは医療保険、運動機能向上などの介護予防は、介護保険で別々に実施されている。
医療保険では75歳以上の人の保険者は都道府県単位の「広域連合」となる。一方、介護予防は市区町村が保険者であることから、一体的なサービス提供が難しい実情があった。
こうした状況を踏まえ、厚労省の有識者会議が昨年末、「広域連合」との連携の下、市区町村がフレイル対策などで中心的な役割を担うよう求める報告書を取りまとめた。さらに今年2月には、介護予防と保健事業の一体的な実施の推進などを盛り込んだ「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案」が通常国会に提出された。
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フレイル対策は市町村が中心、「通いの場」など活用を
今回の検討会立ち上げは、こうした取り組みの一環だ。
検討会には学識経験者や自治体関係者、職能団体の関係者が参加。「通いの場」など、既に実施されている介護予防事業が果たしている役割や実情などを把握した上で、保健事業と介護予防事業の一体実施の具体的な方法などを探る。年内には検討結果を取りまとめ、介護保険部会に報告する予定だ。
(社会保障審議会介護保険部会)
■「通いの場」、9万カ所超に
厚労省は25日の介護保険部会に、全国の「通いの場」が2017年度末の段階で9万1059カ所に達したことを報告した。また、「通いの場」を設けている市区町村は1506カ所で、全市区町村の86.5%に達したことも示した。同年度に介護予防・日常生活支援総合事業に参加した人は169万8486人だった。