子供や学生にとっては、楽しい「夏休み」が始まりました。今でも、海水浴、花火、キャンプなどの言葉を聞くと、なんとなくわくわくした気分になります。
子供のように長い「夏休み」を取るのは難しいと思いますが、大人にとっても「休みを取ること」はとても大切なことです。
以前、ケアマネジャーとして私が担当したSさん(男性)は、奥様が主な介護者でした。難病のため、ベッド上で過ごすことが多いSさんを奥様は献身的に介護されていました。入浴や食事など身体に負担のかかる介助もされていましたので、ヘルパーさんやデイサービスなどの利用を何度もお勧めしましたが「自分ができる間は、できるだけしてあげたい」と外部の手を借りようとしません。働き盛りの息子さんたちにも迷惑はかけられないと、家族にも頼らずに頑張っていらっしゃいました。
ところが、毎月の訪問時に話をしていると、涙声になります。「つらいんです」と…「奥様がここで倒れたら、ご主人も心配して、辛い思いをされますよ」と説得して、ようやくショートステイサービスの利用を始めました。最初は、施設に預けることに、後ろめたい気持ちを持っていたようですが、ご主人も施設の利用に慣れ、毎月1~2週間を施設で過ごすようになりました。奥様も休息する時間を持てるようになりました。すると、奥様の表情が明るくなってきました。以前のように涙を見せることもありません。
ある時、奥様より相談を受けました。「私ね、久しぶりに旅行したいのだけど、行ってきても良いかしら?」「もちろんですとも!」私は早速、奥様の希望日にショートステイが予約できるよう手配しました。
旅行から帰った後は、旅先での思い出を楽しそうに話して下さいました。奥様の笑顔を見て、Sさんの表情もいつもより穏やかでした。
介護は長期戦、頑張り過ぎると続けることが難しくなります。時には、休息を取り、気分転換することが大切です。ショートステイやデイサービスなどを活用して、旅行や趣味活動の時間を作りましょう。介護する方が精神的なゆとりを持つことで、ご家族の安心感にもつながります。
働いている方もまとまった休みが取りやすいこの時期、リフレッシュする良い機会ではないでしょうか。ぜひ「大人の夏休み」を満喫していただけたらと思います。