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高齢者の病気とけが

高齢者の病気とけが

高齢になると、身体機能の衰えによって、体にさまざまな変化がおこってきます。ここでは、高齢者の体の変化や、それによって起こりやすい病気やけがについて紹介します。

高齢者の体の変化

感覚が鈍くなる

  • 熱があっても感じにくいため、気がついたときには悪化していることがあります。ぼんやりした表情や、言葉数が極端に少なくなった、声かけに対する応答が正常かなど、些細な変化を見逃さないようにしましょう。

  • 痛みがあっても感じにくく、どこが痛いのかが特定しにくいため、病気やけがの発見が遅れることがあります。加減がわからず、皮膚が傷つくまでかきむしったり、気づいたら骨折していたということも。普段の様子と違わないか見守ることが大切です。

飲み込みにくくなる

  • 気管と食道を分けている蓋のようなものが、加齢によってすばやく開閉できず、食べ物が食道ではなく気管に入ってしまうことを「誤嚥」といいます。誤嚥してムセが起き、吐き出せればいいのですが、気づかずに肺に入ると、常に高齢者の死因の上位にあげられる誤嚥性肺炎を引き起こします。

  • 義歯が合わないなどで歯茎が炎症を起こしたり、噛む力が弱くなると、食べることが苦痛になり、栄養不足に陥りやすくなります。食べにくい原因を探り、調理法を工夫したり、場合によっては歯科でかみ合わせや義歯の調整を行いましょう。

  • 臭覚や味覚が鈍くなるため、痛んだものを口にしてもわからずお腹の調子を崩したり、極端に塩辛い味付けでないと満足できず、塩分過多の食事になりがちです。味付けなど食事内容にも気を配る必要があります。

視力が低下し、視野が狭くなる

  • 加齢によって起こる白内障は、周囲がぼんやり黄色っぽく見え、緑内障は見えている範囲が狭くなります。周囲の状況が判断しにくくなるため、階段や信号など、外出時には十分な注意が必要です。

耳の聞こえが悪くなる

  • 特に高い音の聞き取りが難しくなるので、短い言葉と低い声で対応するとコミュニケーションが楽になります。

  • 聞こえが悪いと、チャイムや生活家電の音なども聞こえず、生活に支障がでる場合も。そんなときには補聴器の活用も検討しましょう。

身体動作が鈍くなる

  • 理解力が低下したり、記憶力が低下することで、複雑なコミュニケーションがとりにくくなります。

  • 平行感覚や動体神経が低下するため、突然立ち止まる、小走りに駆けるなど、とっさの行動が取りにくくなります。交通量の多い場所では十分気をつけましょう。

  • 歩行スピードが落ち、歩幅も小さくなるため、広い交差点などでは信号が青の間に渡りきれない場合も。無理して渡らず、1回待つくらいの余裕を持つことが必要です。

  • 階段や歩道のわずかな段差でもつまづいて転倒しやすくなります。電車やバスなど公共交通機関の乗り降りの際にも十分に安全を確保して行動するようにしましょう。

高齢者がかかりやすい病気

病名

原因・症状

予防

肺炎

高齢になるほど死因の上位にあがります。誤嚥によって気管に入った食べ物などの雑菌から感染して肺炎を引き起こす誤嚥性肺炎と、栄養不足が原因で抵抗力が下がり感染する気管支肺炎があります。

一般に発熱、咳、痰(たん)、呼吸困難などの症状が見られますが、高齢者の場合はこうした症状が現れず、なんとなく元気がない、食欲がないので検査をしたら肺炎だったということも多いため、早めの気づきが重要です。

  • 十分な水分摂取と栄養補給を心がけましょう。

  • 日常的な口腔ケアで口腔内の衛生を保ち、飲み込みやすい食事形態、水分にとろみをつけるなど、誤嚥を防ぐ工夫をしましょう。

  • 本人はもとより、介護者もうがい・手洗いを習慣化し、外から雑菌やウイルスを持ち込まず、風邪を引かないようにしましょう。

糖尿病

栄養分の代謝がうまくいかず、血糖値(血液中の糖分)が持続的に高い状態となる病気です。生活習慣病のひとつで、遺伝や肥満、運動不足、ストレス、加齢など複数の要因で起こります。

汗をかきやすい、のどが渇きやすい、多尿・甘い尿臭、疲れやすい、キズが治りにくい、できものができやすいなど症状はさまざまですが、多くは気づきにくく、重篤な合併症の症状が現れて初めて受診するケースも多いのが現実です。

病気やけがが治りにくくなり、他の病気の治療も困難にします。そして進行すると糖尿病性網膜症(失明). 糖尿病性腎症(透析). 糖尿病性神経障害(壊疽による切断)の三大合併症のほか、脳梗塞や心筋梗塞の原因ともなります。

  • 予防にはバランスのとれた食事、適度な運動、規則正しい生活、そして定期的な受診(検診)を行いましょう。

  • すでに在宅で治療を行っている人は、食事や服薬など医師の指示を守り、ストレスの少ない生活を心がけましょう。

  • 抵抗力が低下しているため、傷が治りにくいので、やけどやケガをしないよう気をつけましょう。湯たんぽやカイロなどでの低温やけどにも注意が必要です。

  • 感染症にかかりやすいため、衛生的な生活環境を心がけ、入浴や清拭、居室の掃除も徹底しましょう。

高血圧・高脂血症

加齢に伴い血管が固くなったり、血管の内側にコレステロールなどの脂質が付着して血液の流れが悪くなり(高脂血症)、血圧が高い状態が維持されます。

血圧が上昇した状態が続くと、ポンプである心臓の負担が大きくなるために心不全など他の病気を引き起こすことがあります。また、細くなった血管の中を血液が無理やり流れると脂質がはがれて他の狭い所で詰まってしまい、脳梗塞や心筋梗塞の引き金になります。

自覚症状のない生活習慣病のひとつで、偏った食生活や運動不足、飲酒・喫煙などが遠因となります。

  • 毎日決まった時間に血圧を測る習慣をつけましょう。

  • 体内の水分が不足していると血液が濃縮され流れにくくなります。水分補給は1日2リットルを目安にこまめに補給しましょう。

  • 減塩とバランスの良い食事を心がけましょう。特にたんぱく質やビタミンをしっかり摂りましょう。

  • 足先など末端の毛細血管に血液が流れないことで、冷えから痛みが出る場合があります。その場合は湯たんぽなどを使用せず、靴下の重ねはきや寝る前に足浴するなどして温めましょう。

病名

症状

予防・悪化防止

心筋梗塞・脳梗塞

高血圧や糖尿病など、血液に変化をもたらす病気をきっかけに、血管が塞がったり、流れてきた血栓が詰まることで発症する病気です。心臓の血管が詰まると心筋梗塞、脳の血管が詰まると脳梗塞となります。

心筋梗塞の症状は、胸に強い痛みが生じ、呼吸困難や吐き気、冷や汗などを伴います。脳梗塞の場合は、ろれつが回らない、何もないところでつまづく、突然倒れるなどの症状が起こります。

  • 生活習慣病の遠因となる飲酒、喫煙、過食、運動不足などの危険因子をなるべくとりのぞきましょう。

  • 十分な水分を摂取し、血液が濃縮したり血栓が詰まるのを防ぎましょう。

  • 野菜や青魚など、体によい食事をバランスよく摂りましょう。

  • 高血圧にならない生活を心がけましょう。

認知症

脳細胞の消失や変質、脳の疾患などが原因で、老化の範囲を超えた著しい物忘れや判断力の低下、過食や物事への執着など一般には理解できない行動を起こし、日常生活や社会生活に支障をきたす症状を認知症と称しています。原因や発症する脳の場所によって、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症(ピック病)などがあります。
→主な認知症の種類と出現率

ほかに、正常圧水頭症、脳腫瘍、多発性硬化症などが原因の場合もあります。

認知症の症状は中核症状と周辺症状に大きく分けられ、中核症状には記憶障害(ついさっきのことを忘れる、新しいことを覚えられない)、見当識障害(日付や場所がわからない、他者との関係がわからない)、判断力の低下(順序だてて行う料理などができなくなるなど)、失語(言葉がでない、理解できない)、知っているはずのこと・できるはずの行動がわからなくなる失認・失行などがあります。

周辺症状には、幻覚や妄想(もの盗られ妄想など)、物事への執着・収集行動、過食・異食、暴言・暴力や介護への抵抗、徘徊(帰宅願望など)があります。引越しなど急な環境変化で表れることがあり、周囲の人の接し方で症状が安定する場合があります。

6割を占めるといわれるアルツハイマー型認知症は、未だ治る治療法は見つかっていませんが、症状の進行を抑える薬や精神状態を安定させる薬で治療を行います。

  • 理解力や記憶力の低下はご本人自身が感じている場合が多く、過度に不安にさせないことが重要です。できないことを責めたり叱ったりせず、まだできることに目を向けましょう。

  • 閉じこもりがちにならず、積極的に外出し、社会との接点をもちましょう。

  • 適度な運動や新しいことへのチャレンジ、指先を動かす行動などは、認知症予防に効果があるといわれています。道筋を立てて考える行動(旅行の計画や調理など)も、脳を刺激し、認知症予防に取り入れられています。

骨粗鬆症・骨折

骨粗鬆症はカルシウムの吸収が加齢により低下し、骨の内部の密度(骨密度)が低下する病気です。運動不足やストレス、他の病気や薬の副作用が原因になる場合もあり、特にホルモンなどの関係で高齢の女性に多く現れます。

骨密度が極端に少なくなると、骨が変形して背中や腰が曲がったり、咳をしただけで肋骨の骨が折れたり、体を支えるために手をついただけでヒビが入るなど、骨折しやすくなり日常生活にも支障が出てきます。

  • 乳製品や小魚、大豆に含まれるカルシウムを積極的に摂りましょう。ビタミンDやたんぱく質と一緒に摂ることで吸収力がアップします。

  • 食事のバランスを考えるだけでなく、運動をして、骨を支える筋肉の力を低下させないことも大切です。

  • 骨折の原因となる転倒を防ぐために、家の中の段差の解消や、部屋に障害物となるようなものを置かないよう気をつけましょう。

病名

症状

予防・悪化防止

やけど

高齢になると、感覚が鈍くなるため、熱いものを感じる力が低下します。また、血行が悪くなるため冷え性になりやすく、多くの方が冬になると湯たんぽや電気毛布を使用しますが、これらの暖房機器を長時間使用すると、知らず知らずのうちに皮膚が低温やけどの状態になります。

また、調理中、長袖の上着の袖に引火してやけどを起こしたり、洗剤の間違った使い方による化学熱傷も少なくありません。

高齢者、特に糖尿病の方はきずが治りにくく、傷口から感染症を併発する可能性もあります。また、関節部分にやけどのあと(ケロイド)ができると、ひきつって運動障害を起こすことがあるため、軽度のやけどでも軽視せず、病院を受診しましょう。

  • 使い捨てカイロや湯たんぽは直接肌に当てず、必ずタオルなどで包んで使用しましょう。

  • 電気毛布は、事前に温めておき、布団に入ったらスイッチを切りましょう。

  • 暖房便座の温度は中温以下にし、長時間座らないようにしましょう。

  • 調理はかっぽう着のように袖口がすぼまった衣服で行い、調理器具は高温になったり空焚きすると自動で消火する安全装置付きのもへの交換を検討しましょう。

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