夜間訪問介護で16億円ムダ、端末機は倉庫保管でホコリかぶる

会計検査院が夜間対応型訪問介護のサービス実施状況を調べたところ、同サービスに必要なコール用端末機が廃棄されたり倉庫に保管されたままで、夜間対応型訪問介護全国73事業所へ交付された補助金の約16億円が無駄になっていることがわかった。同院は、10月22日、これらの調査報告をまとめた文書を厚生労働大臣に提出し、改善を求めた。

夜間対応型訪問介護では、利用者からの通報を受け付ける通信機器システムの導入、ケアコール端末の購入、リースなどで3,000万円、夜間対応型訪問介護の広報300万円などの経費を対象に補助金が支払われている。同院は、2006年度〜2008年度に8地方厚生(支)局管内の73市区が補助金を交付した夜間対応訪問介護事業所65事業者101事業所を調査した。

そのうち21年度末のケアコール端末等の利用状況が確認できた63事業者96事業所では、購入した端末台数計13,127台に対し、利用者数は計3,836人のみの29.2%と、サービス利用の割合が3割に満たない低調ぶりだった。サービス利用が低調だった40事業所では、利用されていないケアコール端末が倉庫に保管されたままとなっていたことも会計実地検査などで明らかになった。
夜間対応型訪問介護事業を休止していた事業所は26事業所(7事業者)にのぼり、廃業した事業所も7事業所(5事業者)あった。

同院は、夜間対応型訪問介護のサービスの利用が低調だった40事業所について、事業所を管轄する36市区が詳細な需要調査を実施してしておらず、おおむね利用者300人につきオペレーションセンターを1カ所以上設置するという基準をそのまま面的整備計画の算定根拠としていたと指摘。また、整備計画書には事業費のみを記載し、ケアコール端末の需要有無も正確に把握できていないとして、市区の管理のずさんさを指摘している。

また、夜間対応型訪問介護の利用が低調となっている理由については、多くの市区、事業者が利用者、介護支援専門員等の理解不足や、類似する制度・事業が存在していることをあげたと報告。このうち、類似する事業については、市町村が実施している緊急通報体制等整備事業などは毎月の運用費用は大半が無料で、夜間対応型訪問介護の自己負担が1,000円から1,105円であるのに比べて相当安価であることが同サービスの伸び悩みの一因としている。

同院は、計73事業所(49事業者)への交付金、計16億1,251万円が無駄になっているとして、市町村に対し、事前に夜間対応訪問介護利用者の需要調査を十分に実施し、その原因を分析して利用の促進が図られるように助言すること、市町村における夜間対応型訪問介護と類似するサービスについて各関係機関が連携するよう助言すること、交付金により購入したものの、利用がなく遊休しているケアコール端末等について他地域の事業者で活用するなどの改善案を厚生労働省へ提示した。

会計検査院 「地域介護福祉空間整備推進交付金及び地域介護福祉空間整備交付金による夜間対応型訪問介護の実施状況について」

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