東京大学先端科学技術研究センターは、標準型車いすからベッドや椅子にスムーズに移乗できる機器「トランスファ・スツール」を試作開発した。
本機器は、小型スツールとトランスファボードを組み合わせたもので、車いすを使う本人の残存能力を活用しながら、介助・介護者の負担を軽減することを目指している。車いすからベッドや椅子に移乗する介護作業は、介助者の大きな負担になっており、7割以上が腰痛になったことがあるとされている。それにもかかわらず、これまで開発された移乗補助機器は、可搬性や作業性、安全性、コストに問題があり、介護現場に普及するまでには至らなかった。
本機器は、それらの問題の解決を目指して開発されたもの。構造は、イス型フレームの上部にトランスファボードを結合して、下部フレームによってボードが支えられ、標準型車いす利用者でも安定した座位移乗が可能となっている。また、シンプルで持ち運びやすい構造と、小型化、軽量化を図ったことで、運びやすく、使いやすくなっている。
使い方はいたってシンプル。例えばベッドへの移乗の場合、車いすをベッドのそばに寄せる→スツールの片側をベッドに乗せ、もう片側を座っている脚と座面の間に挿入する→要介護者の体をスツールに滑らせてベッドへ移乗する→スツールを外す、という仕組みだ。
現在、開発した最終試作機を使って長期運用試験を実施中で、使用状況や運搬保管などの問題を解決させ、数年内での製品化を目指す。
小型スツール
小型スツールとトランスファボード
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