資格に重みを持たせるための長時間研修はバカげている――人材会議レポ2

厚生労働省が11月29日に開催した「今後の介護人材養成のあり方に関する検討会」の第7回会合では、介護福祉士の600時間研修の必要性をめぐって出席した委員らが意見を交わした。

現場の介護従事者からのヒアリングが公開された10月の前回会合を振り返り、中尾委員(全国ホームヘルパー協議会会長)は、「処遇面の不満などネガティブな意見が多かったが、あれを現場からの大多数の声だと思わないでほしい。制度が変わるたびにヘルパー達は翻弄されているが自己研さんの努力を重ねている」と述べ、コミュニケーション術や困難事例など現場に即した研修内容を盛り込むよう要望した。

「前回ヒアリングで本当に現場は疲弊していると感じた」という田中委員(社団法人日本介護福祉士養成施設協会副会長)は、「研修を6カ月間で終える必要はなく1〜2年かけてもよいことや、通信教育の選択肢などの内容が現場に伝わっていない」と、厚生労働省に対し、現場への情報伝達の努力不足を非難。藤井委員(日本社会事業大学専門職大学院准教授)も「今、こういうことが議論されていると現場に伝える必要がある」と訴えた。

佐藤委員(民間事業者の質を高める一般社団法人全国介護事業者協議会副理事長)は、「ヒアリングでは批判的な意見が多く、なかでも600時間という時間的なことへの反発が強かった。すでに80万人が受けている介護福祉士の勤務実績3年を活かしつつ、多くの人が受講できるよう研修の間口を広げるべき」と述べた。

また、研修のカリキュラムについて、藤井委員(前述)は「ヘルパー研修は1,800時間で教える内容を130時間に縮めて広く浅く教えているが、足のむくみがあって利尿剤を服用しているために失禁がある人などのケースは、それらの関連性や作用について考えられるような研修にするため、600時間は必要だ」と述べ、受講期間を1〜2年ではなく3年に広げるよう主張した。

平川委員(社団法人全国老人保健施設協会常務理事)は、たんの吸引の研修カリキュラムを例に「資格に重みを持たせるために膨大な研修時間を設けるのはバカげている」と発言。派遣社員も動員しなければ人材確保が成り立たない業界の現状について、「せめて転職で事業所を変えたとしても、介護職が業界自体を去ることがないようキャリアパスを考えるべき」と述べた。

樋口委員(NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長)は、「介護福祉士の年収450万円確保は難しいが、人並みの初任給と5〜10年は勤務の見通しが立つ収入を得るよう人材の予算だけは確保してほしい」と厚生労働省に呼びかけた。また前日に島根県の12人のデイサービスを訪れ、施設長から研修への参加は人材的に無理との悲鳴を聞いてきたという樋口委員は「地域対応を求めるのが厚生労働省の方針となっているが、小規模な事業所への支援体制を整えないと不親切だ」と批判した。

小山委員(全国小規模多機能型 居宅介護事業者連絡会副代表)は、「小規模多機能型居宅介護は2025年までに60万人分を配備するというが、私たちの仕事は24時間365日絶対に休まない職場。そんな中で研修に出る余力はなく受講は非常に困難だ。また地方にとっては研修費用より交通費や宿泊コストなどの負担がきついので、地域単位で研修ができるようにしたり、ヘルパー研修や認知症研修を読替可能とすべき」と身近な受講策を講じるよう求めた。

因委員(日本ホームヘルパー協会会長)は、「1日の研修分に人材を補充するためには1日代替職員を確保すればよいわけではない。例えば研修の当日に動けるよう(予習的な)見習いで2日間ほど引き継ぎをしてもらう工夫が必要。小規模多機能型居宅介護グループホームは、代替職員が使いづらい部分はあると思うが、定年退職者などを登録しておいて利用者に合った(馴染んだ)人を確保して研修に職員を送り出す方法もある」と提案した。

介護福祉士研修600時間「半年で無理」なら1〜2年で――人材会議レポート1

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