地域の在宅医療で中心的な役割を担っている診療所の連携先は平均8.8件―。こうした実態が、厚生労働省が行った在宅医療の連携に関するアンケート調査で分かった。連携先として居宅介護支援事業所を選んだ診療所の数は、訪問看護ステーションに次いで2番目に多かった。
調査は今年2-3月、地域の医師会の協力の下、13都県・14地域(岩手県釜石市、山形県鶴岡市など)で在宅医療の中心となっている診療所380施設を抽出して行われ、このうち124施設から回答を得た。全体の約9割は無床診療所で、在宅療養支援診療所は61施設。標榜する診療科は、内科が118施設で最も多かった(複数回答)。
在宅医療の連携先について、20種類から複数回答で選んでもらった結果、最も多かったのは「訪問看護ステーション」の109件で、以下は「居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)」(94件)、「救急医療や高度医療を行う拠点的な病院」(90件)、「薬局」(89件)、「地域包括支援センター」(86件)などの順。
診療所1施設当たりの連携先は8.8件で、24時間365日対応で往診や訪問診療を行い、地域の医療機関と協力している診療所の連携先(平均10.6件)は、それ以外の診療所(平均8.6件)よりも多かった。ただ、両者の間に統計上の有意差は見られなかった。
一方、在宅医療の困難事例に遭遇した際の相談先では、「医療機関」が92件で最も多く、次いで「訪問看護ステーション」(85件)、「居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)」(67件)、「地域包括支援センター」(62件)、「行政機関(保健所を除く)」(25件)などと続いた(複数回答)。
■患者情報の共有方法、トップは「電話」
さらに、連携先との患者情報の共有方法を複数回答で尋ねたところ、トップは「電話」(101件)で、以下は「ファクス」(97件)、「専用の連携用紙(紙媒体)」(48件)、「電子メール」(41件)、「非公開型ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)」(29件)などの順だった=グラフ=。
自由記載では、連携がうまくいっている要因の一つとして、地域包括支援センターやケアマネとの連携が挙がり、「地域包括支援センターや介護支援専門員との距離が近く、ざっくばらんに話ができているため、もしものことが起こったとしても迅速な対応を取ることができる」「医師自ら、ケアマネジャーや介護員に対し、患者の状況を発信しており、全てのスタッフが医療、介護の制度について理解している」などの声が上がった。