「1人のケアマネの目だけでは足りない」―厚労省・込山課長インタビュー

居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネに限定する」。ケアマネジャー居宅介護支援事業所に大きな衝撃をもたらしたこの制度改正は、なぜ導入されたのか。また、経過措置など、この制度改正の今後の行方は―。厚生労働省老健局振興課の込山愛郎課長に聞いた。


ケアマネへの期待を語る込山課長

ケアマネの“実力向上”目指した制度改正

―改めて、居宅介護支援事業所の管理者を主任ケアマネに限定した狙いについて、お聞かせください。
一言で言うと、ケアマネやケアマネ事業所の“実力”を高めていただくことへの期待です。

地域包括ケアシステムを深化させ、自立支援や重度化防止に役立つサービスを実現するためには、多職種連携の要であるケアマネの果たすべき役割は、ますます重くなります。さらに介護保険外まで意識したサービスの組み立ても求められますから、その“守備範囲”も広がります。

それだけに、ケアマネには今まで以上に高い力量が求められます。

ただし、現在の業務だけでも多忙を極めているケアマネに「個人の努力だけで、さらなるレベルアップを」と求めるのは、ちょっと無理があります。そこで、複数のケアマネが集まり、それぞれの得意分野を生かし、苦手分野を補い合う仕組みが必要です。

―その仕組みが形となったのが「居宅介護支援事業所の管理者を主任ケアマネに限定する」という制度改正だったわけですか。
そうです。事業所内に他のケアマネさんをスーパーバイズしたり、アドバイスしたりできる主任ケアマネがいれば、事業所内のケアマネの質の向上が期待できます。

―しかし、現在の主任ケアマネがそうした役割を果たせるかどうか、疑問視する声もあります。
主任ケアマネの研修は、人材育成・指導のためのカリキュラムを中心に構成されていますから、十分に対応できると考えています。ただ、その点を課題と指摘する声があることは承知しています。

―スーパーバイズと管理者の2役をこなすというのは、それぞれの役割上、難しい気もします。
確かに個別のマネジメント業務のみならず、「教育・指導」と「管理・運営」を一人でやり遂げるプレイングマネジャーという立ち位置は、業種に関わらず本当に難しい。この点、どの事業所にも通用する回答を用意することは困難ですが、例えば、複数の人材が確保できるのであれば、「教育・指導」に力を入れる人と、「管理・運営」に力を入れる人に、役割分担するのも一つの手かもしれません。

いずれにせよ、社会保障審議会介護給付費分科会の審議報告の今後の課題でも示されたように、これからはケアマネの質やケアマネ事業所としての質の高さが求められる時代です。個人はもちろん、組織として実現できるケアマネジメントの質が問われる時代に入りつつあるのです。場合によっては、その質が報酬にも関わってくるかもしれない。そうした現実を思えば、もはや「居宅介護支援事業所は、人材育成や組織運営など意識する必要はない。関係ない」と言い切れる時代ではないと思います。

■「経過措置3年」の狙いと今後

―この制度の経過措置期間は3年とされました。その理由を教えてください。
主任ケアマネさんになる人の数と、全事業所に管理者として配置する場合に必要な数を元に必要な年数を算出したところ、3年あれば充足できるという結果が得られたので、その期間を設置しました。

―経過措置期間が3年以上に伸びる可能性はありますか。
現段階で言えることは、「まずは3年間で主任ケアマネの充足を目指す」ということに尽きます。

ただし、この経過措置の間に充足したかどうかは検証しなければならないでしょう。具体的には3年が経過する前に、その検証を実施したいと考えています。

■研修のローカルルール「課すこと自体に問題はない」

ケアマネジメント・オンラインが実施したケアマネへのアンケートでは、都道府県によっては主任ケアマネの研修に独自のルールを課す例があり、そのルールが資格取得を難しくしているという声も寄せられています。
都道府県が主任ケアマネの研修のために独自ルールを課すこと自体は、全く問題ではありません。

―なぜでしょうか。
それぞれの地域で、地域のニーズにあった質の高い主任ケアマネになっていただく必要があるためです。そこで厚労省が『こういう要件はいけませんよ』としてしまい、それぞれの地域で必要な質を確保できなくなると、これは逆に問題でしょう。そういったことを厚労省から言うつもりはありません。

一方で、主任ケアマネの数を確保しなければならないという現実もあります。ですので、都道府県に対しては、主任ケアマネの研修の受講の機会を拡大していただきたいと思っています。

■「特定事業所加算を算定できる事業所に期待」

―今回の制度改正は、特に1人ケアマネの事業所には大きな負担となります。厚労省として、この制度改正によって1人ケアマネ事業所を減らそう、あるいは統合再編を進めようという意図はありませんか。
そういった意図は、全くありません。

ただし、既に申し上げた通り、今後、居宅介護支援事業所も、質が求められる時代に入ります。そして今後、医療介護連携や自立支援・重度化防止、地域資源の活用など、深化する地域包括ケアシステムの要を担い続けるには、少なくとも1人のケアマネさんの2つの目だけでは、ちょっと足りないかもしれないとは感じてはいます。

言い方を変えるなら「何もかも1人のケアマネが抱え込む必要はない」ということです。

1人事業所のケアマネさんでも、他のケアマネ事業所などと連携したり、地域ケア会議に積極的に参加したりして、他のケアマネの持つ知恵や知識やネットワークを活用する工夫をしてほしいのです。

連携という点で特に期待したいのは、特定事業所加算を算定できる事業所です。そうした事業所から、地域の1人ケアマネなどに連携を働き掛けてほしいですね。今回、特定事業所加算の要件に「他の法人が運営する居宅介護支援事業所の職員も参画した事例検討会等の実施」や「地域包括支援センター等が実施する事例検討会等に参加」を加えたのは、その期待からです。

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