皆様、こんにちは。
暑い暑いと言いながら、もう8月。先月、妹夫婦と合流し、鰻をごちそうになりました。小学校1年生の姪っ子は箸の持ち方が上手になっていて、聞くと4月から学校の先生に指導を受けていたそうです(それまでは握り箸で器用に米粒をつまんでいました)。作法としての美しさを考える機会になりました。
そして8月4日は箸の日です。
「は(8)し(4)」の語呂合わせで、「箸を正しく使おう」という民俗学者の提唱で、わりばし組合が1975年に制定したそうです。東京都千代田区の日枝神社では、この日長さ1mの箸を神前に供え、古い箸を焼いて供養する「箸供養祭」が行われています。
コンビニで簡単にくれる割り箸。日本で使われ始めたのは8世紀頃だとか。日本人が器用と言われるのは、箸を使うことから培われた技術という意見も多いです。
さて、箸の使用と高齢な方の心身状況を研究した文献もありました。
秋田県秋田市の老健Aに入所される方130名を対象に、「食事の際に箸を使う、箸使用群」と「箸を使用しない、非箸使用群」の2群に分けて「食事の自立度」「認知症の自立度」を比較検討したところ、箸使用群59名中、ランクA(屋内日常生活がほぼ自立可能)が49名(83.0%)!ランクB(屋内で要介護、移動は車椅子)は10名(17.0%)、ランクC(寝たきり)はいませんでした。
一方、非箸使用群71名では、ランクAは22名(31.0%)、ランクBは34名(47.9%)、ランクCは15名(21.1%)。箸使用群が食事の自立度の高いことが示されました。
さらに、箸使用群は、他のすべての日常生活自立度も高い傾向でした。また、認知症においても、認知機能障害が多少の影響を与えながらも、同様の結果であることが示されています。
この研究を読みながら、普段当たり前に箸をつかみ、ご飯やおかずにスポットを当ててつまみ上げ、口という目的地まで物をつかんだまま運び、口でキャッチする、といった一連の動作が、本当に複雑で緻密な、全身作業だとわかります。せっかくの日本の食文化ですから、長く楽しみたいですね。
暑い最中ですが、箸やスプーン、フォークやナイフを華麗に使って、美味しいものをいただきながら乗り切りましょう!