息子が小学生だった頃の夏休み、キャンプで捕まえたクワガタを家で飼っていたことがあります。
ある朝、ゲージの中にいたクワガタがいなくなっていました。フタの隙間から、外に出てしまったようです。家の中を一通り探しましたが見当たらず、「夜行性だから、夜になったら出てくるかもしれないね」と夜まで待つことにしました。すると、出勤した夫から電話がありました。会社に着いてカバンを開けようとしたら、なんとカバンにクワガタがとまっていたとのこと。当時、夫は1時間程かけて電車で通勤していました。
満員電車の中、見慣れぬ風景に驚いて、カバンにしがみついていたのか…揺られる電車の中で気持ちよくうたたねしていたのか…定かではありませんが、クワガタは大冒険をして、無事我が家に帰宅したのです。小さなクワガタの目に都会の風景はどのように映っていたのでしょうか…思い出すと、今でも微笑ましい気持ちになります。
人は、生き物や自然とのふれあいから、多くのことを学んできたのだと思います。
今まで出会った高齢者の方も「子供の頃は、毎日海に潜って、オヤツは自分で捕った貝だったんだよ」「毎日裏山の木に登って楽しかったね~カブトムシもたくさん取ったよ」と生き生きした表情で話して下さいました。虫が苦手だった私も、アリが巣を作ったり、餌を巣に持ち帰る様子を見るのは面白くて、飽きずに見ていたことを思い出します。そんな些細な経験の積み重ねから、命の尊さや自然のありがたさ、怖さなどを自然と知るようになっていくのかもしれませんね。
今年は、ヒアリが日本に上陸したとのニュースが報じられています。蚊を媒体とするデング熱の発症、スズメバチの集団発生など、子供を持つ親にとって、夏の屋外での行動は心配なことが多くなっています。危険を回避するため、外遊びや自然とのふれあいが減ってしまうことはとても残念なことです。
我が家のクワガタのように、夏休みに大冒険をする、そんな機会に多くの子供たちが恵まれることを祈ります…