二十四節気の一つ『夏至』。 1年で最も昼間の時間が長く、夜が最も短くなる日です。
昨年12月の介護相談員ブログでも、「冬至は日照時間が一番長い夏至と比べると、場所によって異なるものの、概ね5~6時間の差がある」と、日照時間の差について触れられていました。日本は、夏至が梅雨の時期にあたります。雨模様が続くので「昼間の時間が長い」という印象がないかもしれないですね。
冬至では、ゆず湯に浸かり、カボチャをいただく風習があります。では、夏至は?そういえば、夏至は冬至に比べると、広く知れ渡る風習などが、ほとんどない気がします。何故なのでしょうか?
現在では、田植えの時期というのは、4月~5月にかけてが一般的ですが、昔は夏至の時期が最盛期だったそうです。ゆっくりと何かをいただいたり、お供えしたり、ということが、農業が最も忙しいこの時期にはできなかったこともあって、行事として定着しなかったようですね。ただ、地域によっては、田植えが終わってから、お祭りをしたり決まったものを食べたりするところもあったようです。
例えば、関東地方では「焼き餅」。その年に収穫した麦で餅を作り、神様にお供えしたり、田植えを手伝ってくれた人たちに感謝の気持ちとして配ったそうです。
また、関西地方では「タコ」。タコの8本足に掛けて、稲が八方に根を張るようにと豊作を祈願してなのだとか。タコには疲労回復効果もあるので、暑さに負けないようにという意味もあったのでしょう。
日本の行事食というのは、昔の人の知恵が活かされていたり、成長や健康、豊作を願う祈りが込められているものが多くあります。調べてみると、夏至のように同じ行事でも地域ごとに異なっていたりと、発見も多く、日本の食文化の奥深さなども垣間見えて面白いものです。
たまには、住んでいる地域に伝わる伝統の食べ物などを美味しくいただくというのも、食事を楽しくする工夫の一つとして良いかもしれませんね。