今年もまた桜の季節がやってきます。
桜が大好きな私は、この時期はそわそわ…「今年はどこの桜を見に行こう。いつが見頃だろうか?」と。最近は温暖化の影響で開花の時期が早まり、ちょうど花粉症の時期と重なるのが残念ですが、一年に一度の楽しみ、マスクと眼鏡をして出かけていきます。千鳥ヶ淵や新宿御苑などは、見応えがあり、毎年でも足を運びたい場所ですが、住宅街や民家にひっそりとたたずむ桜も風情があります。
デイサービスで働いていた頃、送迎車の窓から利用者さんと一緒に見る桜も楽しみの一つでした。近隣で桜がある場所をすっかり把握してしまったくらいです。
満開の桜を眺めながら、しっかり者で気の強い女性利用者Kさんがポツリと言いました。「お父さん(ご主人)が亡くなったのもね、ちょうど桜の頃だったの。火葬場で桜吹雪がきれいに舞っていたわ」
そう話すKさんの顔は、今まで見せたことのないような柔らかな表情でした。その後、数年前に亡くなったご主人との思い出をなつかしそうに語って下さいました。
戦争でご主人を亡くされたCさん、いつもは明るく会話の中心にいる方ですが「本当にきれいな桜だね~、お父さんと一緒に花見ができたら良かっただろうね~」と遠くを見つめ、一瞬寂しげな表情を浮かべました。Cさんは、20代の頃から女手ひとつで、二人の息子さんを育て上げました。
大切な人との別れを経験し、はかり知れない悲しみや想いを抱え生きていらっしゃる…ただ言葉に耳を傾けることしかできす、寄り添って桜を眺めていたことを思い出します。
ハワイに日本の桜を植える活動に従事されている利用者さんとも出会いました。「オオシマサクラ」など暖かい地方に咲く桜を選び、苗木を生育させることに成功したそうです。たくさんの花をつける程に成長するまでには、まだ数年かかるとのことですが、ハワイで日本の桜が見られるとは、なんて素敵なことでしょう!
ハワイでの開花時期は2月とのこと、いつの日か、南国で満開の桜を見ることを夢に見つつ…
今年の開花が待ち遠しい今日この頃です。