先日、女性の利用者さん宅を訪問すると、卵の殻で作ったかわいいひな人形が飾られていました。聞けば、デイサービスで作ったとのこと「顔を描くのが案外難しいんだよ」とサインペンで描いた愛嬌のある二つの顔を指差しながら、嬉しそうに話して下さいました。
以前、デイサービスで働いていた時も、この時期になると、手作りのひな人形を作っていました。今年はどんな素材で作ろうか…スタッフで毎年頭を悩ませましたが、利用者さんは毎年楽しみにしてくれていました。普段は気難しい顔で座っている利用者さんも、人形を作っている時は、顔がほころんでいるように見えます。お母さんや娘さんと一緒に飾った時のことを思い出していたのかもしれません。一緒に飾る桃の花…室内が明るく華やいだ雰囲気となり、春の訪れを感じたものでした。
以前、新聞でこんな詩を見つけました。
「いのち」の終わりに3日下さい
母とひなかざり
貴男と観覧車
こどもたちに茶碗蒸しを
(「日本一短い手紙」の入賞作品)
小さな頃は私も母や妹と一緒にわくわくしながら、ひな人形を飾ったことを覚えています。ガラスケースに入った小さな7段飾りでしたが、実家を離れた今でも、母は毎年飾ってくれているようです。
最近は住宅事情から、1段や2段のコンパクトなひな飾りが主流になっているようですが、それでも、一年に一度のこの行事は、母娘との思い出を重ねる大切な時間を紡ぐ役割を果たしているのかもしれません。
良き伝統行事は、いつまでも残ってほしいと願います。
あかりをつけましょ ぼんぼりに
お花をあげましょ 桃の花
五人ばやしの 笛太鼓
今日はたのしい ひな祭り