福祉用具貸与の販売への移行、6割のケアマネが「反対」

2024年度に予定される介護報酬改定を見据え、厚生労働省は2月、福祉用具をめぐる課題を洗い出し、対応策を探るための「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」を立ち上げた。この検討会では福祉用具貸与の対象となっている「杖」や「手すり」などの販売への移行の是非などが検討される予定だが、ケアマネジャーの約6割は、貸与から販売への移行に否定的であることが、ケアマネジメント・オンラインの調査でわかった。

ケアマネジメント・オンラインでは3月1日から7日かけて、会員に調査を実施。285人のケアマネジャーから回答を得た。

「手すり」などの福祉用具貸与の販売への移行について、ケアマネジャーの立場から賛成か反対かを尋ねたところ、最も多かったのは「反対」に58%だった。一方、福祉用具貸与の販売への移行に、一部でも賛成するケアマネ(「賛成」と「一部なら賛成」の合計)は39%だった。



■本人にあった用具選択が困難に―反対派
「反対」を選んだケアマネからは、利用者にあった用具選択が難しくなることを懸念する声が数多く寄せられた。

「ある程度の期間試用してみないとわからない。購入では高価だし、自分にあったものが買えない人が多くなる」(40歳代女性、兵庫)
「利用者のADLの変化に伴い、使う福祉用具は変化する。販売には適さない」(60歳代女性、神奈川)
「同じ状態が続くのであれば購入も良いかと思いますが、状態は変化することを考えれば貸与のほうが好ましいです」(50歳代女性、兵庫)

■利用控えや事故を招く懸念も―反対派
また、貸与から購入への移行は、利用控えや事故を招くと指摘する声もあった。

「低所得者は購入が難しく、用具の使用を我慢してしまい、事故につながりやすい」(60歳代女性、愛知)
「状態が変化するたびに買い替えが必要になり、経済的な負担が増える」(50歳代男性、大阪)
「費用負担が増大することで、他のサービス利用にも影響する恐れがある」(40歳代女性、福島)

■一部賛成派の中でも意見が分かれる、手すりの販売移行
「一部なら賛成」を選んだケアマネの間では、販売への移行を検討できる用具として、杖や手すりを上げる人が多かった。ただ、手すりについては、「一部なら賛成」を選んだ人の中でも意見がわかれた。

「比較的軽度の方が使用されると思われる4点杖やベッドサイドに置く手すりは購入でもいい」(50歳代女性、岐阜)
「一部の杖など、福祉用具の適正価格に合わない物であれば販売も良い」(40歳代男性、愛媛)
「トイレで使用する手すりは販売のほうが衛生的にいい」(40歳代女性、福岡)
「杖ならば販売でよい」(50歳代女性、富山)
「杖は賛成だが、手すりは身体状況により増減があるので給付が良い」(50歳代女性、福岡)
「手すりは住宅環境と使用期間に応じて貸与が妥当」(50歳代女性、神奈川)
「『ダイヤスロープ』は同じようなものがホームセンターでも購入できるから、購入でよい」(50歳代女性、栃木)

■賛成派の間でも、一定の条件を求める声が
「賛成」を選んだケアマネの間からは、単に移行するだけでなく、一定の条件を設ける必要があるとする声も上がった。

「1年間の購入限度額を上げないと、退院時の住環境調整に支障が出る」(50歳代男性、愛知)
「金銭的に余裕のある方はいいが、ない方の場合はケアマネとしては考えてしまうので条件を設けてはと考えます」(70歳代女性、茨城)

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