入院患者に身元保証人が付いているにもかかわらず、入院費が未払いになったり、身元保証人と連絡が取れなかったりするなど、何らかのトラブルに発展した経験のある病院が全体の7割超に上ることが、神奈川県病院協会が行ったアンケート調査で分かった。
調査は今年2~3月、同協会の会員の284病院を対象に行い、94病院から回答を得た。このうち6割超は救急告示病院だった。
入院時、身元保証人(保証人、連帯保証人、身元引受人など)を求めている病院は全体の97%に達し、その理由を複数回答で尋ねたところ、「支払いの保証」(87病院)が最も多く、次いで「医療行為の同意」(62病院)、「急変時の入退院手続き」(52病院)、「遺体・遺品の引き取り」(46病院)などと続いた。
一方、身元保証人を付けることができない場合の対応としては、「いない場合でも(入院を)認める」が83病院とトップで、以下は「後見人等の検討・活用」(50病院)、「福祉事務所に相談」(44病院)などの順だった(複数回答)。
身元保証人が付いているにもかかわらず、対応してくれずに困ったり、トラブルになったりした経験がある病院は全体の74%に上った。具体的な事例を複数回答で尋ねると、最も多かったのが「(入院費の)不払い」(63病院)で、次いで「連絡取れず」(51病院)などと続いた。
自由記載では、「連帯保証人として本人が記入したが、事象発生時には介入してくれず、他人ごとになっていた」「家族がいても患者と関係が悪く、入院の同意はするが以降のことは関係拒否とし、身元保証人としても拒否される」「保証人欄に記載はあったが、患者本人が保証人の同意を取らずに記載しており、医療費未払いを拒否されたケースがある」などの事例が寄せられた。
■未払いへの救済措置の検討求める声も
厚生労働省は昨年4月、身元保証人らがいないことだけを理由に患者の入院を拒んだ場合、医師法に違反するとして、都道府県に適切な指導を求める通知を出している。
アンケートに回答した病院からは、「医師法の内容・理念は理解できるが、身元保証人がいないことで医療機関側への未払いが生じることがある。将来的に身元保証人のいない患者は増えると予想されるので、そのような患者で未払いが生じた際に、医療機関側への措置を国や自治体で検討していただきたい」と求める声もあった。