国の財政のあり方について話し合う「財政制度等審議会」(財政審)は19日、令和初となる意見書を麻生太郎財務大臣に提出した。意見書では、要介護1・2の生活援助サービスを対象とした区分支給限度基準額の設定などについて、具体的な検討を求めているほか、介護サービスの価格における「透明性向上」や「競争推進」の必要性にも言及している。
麻生大臣=右=に意見書を手渡す榊原会長
財政審は、東レ特別顧問の榊原定征氏が会長を務める財務大臣の諮問機関で、春(5~6月)と秋(11~12月)の年2回、下部組織の「財政制度分科会」がまとめた「建議」(意見書)を財務大臣に提出している。意見書の中身は、政府の予算編成などに反映され、介護保険制度改正にも影響力を持つとされる。
■「消費増税+社会保障改革」を
今回の意見書では、「令和時代は、現在の世代における受益と負担の乖離と将来世代へのツケ回しに歯止めを掛ける時代にしなければならない」と強調し、「本年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げに加えて、社会保障改革も進めていかねばならない」としている。
介護分野では、2021年度に予定されている次の介護保険制度改正について、「今後の高齢者の増加、現役世代(支え手)の減少を見据え、制度の持続可能性を確保し、さらなる上昇が見込まれる保険料負担の増加を抑制する観点から、改革に着実に取り組む必要がある」と指摘している。
その上で、要介護1・2の利用者を対象とした生活援助サービスについて、「第8期介護保険事業計画」の期間中(21~23年度)の地域支援事業への移行や、区分支給限度基準額の設定または利用者負担の引き上げなどの具体策の検討を求めている。
また、保険給付の効率化を図るため、「介護サービスにおける民間企業の参入とサービス価格の透明性向上・競争推進など、公定価格の適正化に向けて取り組む必要がある」と主張している。これは、複数の事業所のサービス内容や利用者負担に関するケアマネジャーの説明を義務化し、サービスの“価格競争”を促すとする財務省の改革案を指している。
■“ケアプラン有料化”も改めて主張
さらに、介護保険制度の持続可能性や給付と負担のバランスを確保する観点から、「利用者負担を原則2割とすることや利用者負担2割に向けその対象範囲を拡大するなど、段階的な引き上げを実施すべきだ」としている。
このほか、ケアマネジメントについても、「世代間の公平性の観点等も踏まえ、利用者負担を設けるとともに、評価手法の確立や報酬への反映を通じて、質の高いケアマネジメントを実現する仕組みとすべきだ」とし、いわゆる“ケアプラン有料化”を改めて求めている。