政府の規制改革推進会議は6日、答申を取りまとめ、安倍晋三首相に提出した。介護離職ゼロの実現に向けた施策として、働く人がケアプラン見直しの打ち合わせなどに参加しやすいよう、介護休暇を「時間単位」で取得できるようにすることを提言。また、ケアマネジャーが介護者の勤務実態を踏まえたケアプランを作成できるよう、セミナーなどで情報提供を行うことも提言している。
答申では、介護離職ゼロに向けた対策の強化として「介護休暇制度の更なる柔軟化」と「介護をしながら働く労働者への情報提供の徹底」を示した。
このうち、「介護をしながら働く労働者への情報提供の徹底」では、ケアマネが介護者の勤務実態も踏まえたケアプランが作成できるよう、スキルアップセミナーを開催することや、その受講を評価する仕組みを設けることを求めた。
また、労働者が40歳になるタイミングで、仕事と介護の両立支援制度や介護保険制度に関する情報提供を行うよう関係機関に働きかけることや、相談窓口として地域包括支援センターが活用できることを周知することも提言した。いずれも、来年度中に措置を講じるよう促している。
■介護休暇「時間単位での取得を可能に」
「介護休暇制度の更なる柔軟化」では、ケアプランの見直しなどに伴うモニタリングは短時間で済む場合が多いが、現行制度では、「1日単位」か「半日単位」でしか介護休暇を取得できず、やや使い勝手が悪い。そのため、「時間単位」の取得の実現を求めている。介護休暇の制度の改正については、来年度に検討・結論を得た上で、速やかに措置を講じるよう提言している。
(答申を受け取る安倍首相、首相官邸のホームページより)
そのほか、介護福祉士や社会福祉士の資格を持つ人が希望すれば、結婚後も登録証で旧姓を使い続けられるようにルールを変えることも盛り込まれた。この件については、今年度中の対応を求めている。
規制改革推進会議の大田弘子議長から答申を受け取った安倍首相は「答申を受け、直ちに規制改革実施計画を策定し、改革の実現を急ぐ」「スピードこそ最も重要な要素であるという認識を持ちながら、しっかりと対策に進んでいきたい」などと述べた。政府の規制改革実施計画は今月中に閣議決定される見通しだ。