複数の事業所のサービス内容と利用者負担の説明の義務化を求める財務省の改革案に対して、日本介護支援専門員協会は、「公定価格の介護報酬において利用者に有益となる価格競争は起きない」として、同省側に慎重な検討を求める声明を出した。
財務省の改革案は、ケアマネジャーがケアプランを作成する際、「利用者側の求めによらずとも、単なる情報提供にとどまらず、複数の事業所のサービス内容と利用者負担(加減算による差等)について説明することを義務化」するというものだ。
現行制度では、在宅と施設でいずれも、介護報酬よりも安価なサービス価格を設定することが可能だが、同省は「介護報酬を下回る価格を設定している事業者は確認できず、サービス価格が報酬の上限に張り付いている実態にある」と指摘。説明の義務化によって、在宅サービスの価格の透明性を高めるとともに、より安価にサービスが提供される仕組みの必要性を示している。
■「安くて良い」、加算に誤解与える
これに対して日本介護支援専門員協会は、加算で事業所の質の改善への取り組みが評価されているにもかかわらず、『「加算を算定していない事業所の方が安くて良い」という誤解を与え、正常な競争原理が働かない』と主張。同協会が行った緊急調査では、回答した259人のケアマネの半数以上が「利用者は複数事業所の紹介を求めていない」とし、「全ての利用者が複数事業所の紹介を求めているのではない」と指摘した。
さらに同調査では、サービスの選択時に利用者が最も重視する情報として、「職員の雰囲気や態度、相性」(30.8%)、「サービスの専門性の高さ」(22.4%)、「取り組み内容(加算等も含む)」(17.0%)を挙げるケアマネが全体の7割を占める一方、「利用者にかかる費用」は1割に満たなかったことから、「利用者の事業所利用にかかる費用は、選択判断時には重要視されていない」と断じている。