厚生労働省は19日、都道府県などの介護保険の担当者らを集めた「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議」で、自治体が実地指導の際にチェックする文書の量を、新年度から大幅に減らす方針を示した。サービスの質の確保などの観点から最低限必要な内容を「標準確認項目」として定め、実地指導の効率化などを図る。同省では来月にも、運用の見直しなどを自治体に通知する。
都道府県などの介護保険の担当者らが集まった会議
実地指導は2005年度まで、同省が通達した「介護保険施設等の指導監督について」の「主眼事項及び着眼点」に沿って行われていた。「主眼事項及び着眼点」は、翌年度の通知改正に伴って廃止となったが、その後も形を変えて生き続け、いわゆる「ローカルルール」の温床の一つとなっている。
同省の方針は、実地指導の実施率の底上げが主な目的だ。同省側は、指定の有効期間となっている6年に1回以上の実地指導を自治体側に求めているが、1回も行われないケースもあり、「サービス利用者の不利益につながる可能性が高い」と指摘する。17年度の年間実施率(都道府県、指定都市、中核市)は全サービス平均で17.2%で、全国平均を大きく下回る自治体もあるという。
実施率が低迷する背景にあるのが、事業所や施設の増加や実地指導に当たる担当者の不足だ。全国にある事業所や施設の数が約24万件(16年度)に達し、年々増加傾向にある中、実地指導の体制を確保できない自治体も出ている。
このため同省は、自治体が確認する文書の量を大幅に削らすことで、実地指導にかかる時間を減らすとともに、過去の実地指導で特に問題がなかった事業所の頻度を緩和したり、事業所や施設が近隣にある場合などはできるだけ同じ日に行ったりするなど、運用の効率化も併せて進め、実地指導を行う事業所や施設の数を増やす方針だ。
■居宅介護支援の項目は4分の1に
同省が検討中の「標準確認項目」の案によると、居宅介護支援事業所は約25項目で、前述した「主眼事項及び着眼点」に比べると、チェック項目の数は約4分の1に減る=表=。同省では、「標準確認項目」に基づく文書以外は原則確認を求めないよう自治体側に周知するとしている。