2021年度から始まる第8期介護保険事業計画に向け、制度の見直しなどを検討する社会保障審議会(社保審)の介護保険部会(部会長=遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所長)は20日、地域包括支援センター(包括センター)やケアマネジメントについての議論を開始した。厚生労働省は、要支援者らへのケアマネジメント(介護予防ケアマネジメント)が包括センターの大きな業務負担となっている点を課題として提起。委員からは、介護予防ケアマネジメントは居宅介護支援事業所が担うべきなどとする意見も出た。
厚労省は、包括センターの課題として、業務内容の精査や業務・人員体制の強化を掲げた。特に包括センターの業務の約4割を占めている介護予防ケアマネジメントについては、「業務負担の大きさが指摘される一方、要支援者らに対する適切なケアマネジメントを実現する観点から、地域包括支援センターがこれを担うことが重要との指摘もある」とした。
そのほか、厚労省が示した包括センターの論点は次の通り。
・地域の介護保険サービスをマネジメントする上で、中心的な役割を果たす包括センターの現状について
・「介護離職ゼロ」の実現などを目指す中、今後、包括センターに求められる役割
この論点に対し、委員からは「介護予防ケアマネジメントは包括センターの業務から外す必要がある」とする意見が相次いだ。さらに複数の委員から「居宅介護支援が介護予防ケアマネジメントを担うべき」とする意見も出た。
そのほか、包括センターの業務負担を軽減するため、「介護福祉士など、介護の専門職を配置する」という意見や「介護老人保健施設と一体的に運営できる仕組みを導入してはどうか」といった意見も出た。
(社会保障審議会介護保険部会)
■ケアプラン有料化の影響、懸念する声も
この日の部会で厚労省は、ケアマネジメントの今後の課題として▽業務負担をはじめとする環境整備▽自立支援・重度化防止の実現に向けた質の高いケアマネジメントの実現―などを提示。また介護保険外サービスの活用について、「限定的なものにとどまっている」と指摘した。
さらに厚労省は、居宅介護支援について、「骨太方針2018」とその工程表を踏まえて検討すべきと改めて強調した。
「骨太方針2018」とその工程表には、いわゆる“ケアプラン有料化”について、19-20年度中に審議会などで是非を検討し、必要な措置を講じるよう求める内容が盛り込まれている。そのため、一部の委員からは「仮にケアプランが有料化となると、自分でケアプランを組む人が増え、そのフォローのために包括センターの業務が増える」など、有料化に伴う影響を懸念する声も上がった。