入退院時における居宅介護支援事業所のケアマネジャーとの連携について、病院や有床診療所の側はどう考えているのか―。厚生労働省が2018年秋に行った初の意識調査では、医療機関がケアマネに求める情報や役割などの詳細が明らかになった。
初の意識調査の結果が公表された委員会
対象となった医療機関は、2016年度に「退院支援加算1・2」(現「入退院支援加算1・2」)を届け出ていたすべての病院と有床診療所のうち、東日本大震災などの被災地を除いた1325施設で、全体の28.5%に当たる377施設から有効回答を得た。一方、居宅介護支援事業所は、有効回答のあった1288事業所の回答を集計した(※関連記事を参照)。
利用者が入院する際、ケアマネから提供される情報のうち、医療機関側が役に立つと感じている内容を尋ねたところ、「入院前の介護サービスの利用状況」(92.0%)が最も多く、次いで「ADL」(85.4%)、「介護力」(83.8%)などと続いた。
逆に不足していると感じている情報では、「在宅生活に必要な要件」(32.1%)が最多で、以下は「入院前の本人の生活に対する意向」(30.2%)、「入院前の家族の生活に対する意向」(29.7%)などの順だった。
また、居宅介護支援事業所に対して、ケアマネが医療機関に提供している情報を聞くと、トップは「ADL」(66.5%)で、医療機関の9割超が役立つと感じている「入院前の介護サービスの利用状況」は62.2%にとどまった=グラフ=。
一方、退院時に医療機関がケアマネに期待している役割では、「退院日程に合わせた迅速なサービス調整・ケアプラン作成」(85.4%)が最も多かった。居宅介護支援事業所の回答でも、実際にケアマネが担っている役割のトップは「退院日程に合わせた迅速なサービス調整・ケアプラン作成」(88.1%)だったが、「ほとんどのケアマネはおおむね実施している」と考える医療機関は56.2%にとどまり、双方の意識の “すれ違い”が浮き彫りになった=グラフ=。
■ケアマネが考える以上に「情報がほしい」
調査結果が公表された14日の社会保障審議会介護給付費分科会の委員会では、「医療機関はケアマネが考えている以上に、入院前や生活の情報を求めていることがグラフから読み取れる。ケアマネが生活情報を積極的に医療機関へ届けていくことで、連携はより一層深まるのではないか」といった意見が出た。