河津桜が咲き、少しずつ春の気配を感じるようになりました。 3月は卒業式のシーズンでもありますね。
介護の世界でも卒業という言葉が時々使われます。 「脳梗塞の後遺症で、リハビリを続けていた方が、身の回りのことができるようになりデイサービスを卒業する。骨折して要介護認定を受けていた方が回復し、介護サービスから卒業する。」
自立を促すことは介護保険の本来の理念でもあり、介護予防や機能回復に取り組むことで、生活の質の改善にもつながると思います。一方で、年齢を重ねれば、否応なしに身体機能は低下していきますので、すべての人に改善が見込めるわけではありません。
介護サービスを利用せずに生活できるようになることは、自立支援という観点から、非常に素晴らしいことです。最近では、利用者の要介護度が改善すれば、リハビリなどを実施した事業者(デイサービスなど)に自治体がインセンティブ(成功報酬)を与える、といった動きも出てきています。
「今の状態を少しでも長く維持する」ことも大切であるように思います。
私が以前担当していた方で、状態がほとんど変わらない方(女性)がいました。最初にお会いした時点で、90歳を過ぎており認知症の症状もありました。一ヵ月月後に訪問した時には私のことは忘れてしまっているので、毎月「初めまして」という感じでご挨拶をしていましたが、関わった3年間で症状が大きく進行することはありませんでした。2階の自室まで日に何度か階段を往復し、庭の花に水をあげたり草むしりをすることを日課とされていました。週に3回のデイサービスにも休まずに通い、「皆勤賞をいただいた」と嬉しそうに話して下さったのが印象に残っています。日々の積み重ねで、穏やかな日常を継続することもまた尊いことと感じました。
今までの環境を卒業し、4月から新たな生活を始める方も多いことでしょう。
環境は変わらなくても、年度が変わるこの時期に気持ちを新たにすることはあると思います。ステップアップすることは大事なことですが、日々を積み重ねて行くことの大切さも忘れずにいたいと思います。